2011年6月7日(火) - 日産スタジアム(横浜)
Japan
0
0-0
0-0
0
Czech


ペルー戦に続き3-4-3を使用した日本。1日の試合でテストできなかった「本田と3-4-3の親和性」を調べるための90分となった。いかに彼をチームの駒として生かしていくかと言う点では課題も多いが、それを見つけ出せた事でこの2試合は成功だったと言えるだろう。例え結果が連続の0-0とはいえども。

チェコは長いボールをベースに守備重視の戦術であった。狙いは「中央でボールを収めさせ、縦を切ってサイドに運ばせ、サイドハーフとサイドバックで連携して止める」こと。メンバーが替わっても一貫しており、怖さは乏しかったがチームとしての完成度は高かった。

遠藤にはラファタ、長谷部にはコラージがマーク。パチェクは余り、下がる本田は周囲の選手が対処。サイドでは「マークさえ付いていて曖昧なアーリークロスにさせれば、あるいはゴールライン近くを切り込まれなければ、クロスから失点することはないだろう」という予測の元にあった。

相手のやり方が全く変化がなかったため、日本は自分たちの攻めの形を90分模索する展開となった。攻撃の中心となったのは、先日のペルー戦でも途中出場から楔となるプレーを成功させていた本田。相手の守りの形もあって、非常に良く縦パスが収まった。

しかし、そこからの展開には課題が残った。サイドに動かしても良い形でトライアングルが作れず、相手の守備が切ってきたこともあって長友や内田の良さを引き出せない状態にあった。

中央では下がってボールを受ける本田と、前に動き出したい岡崎、李の間に長い距離が生まれ、1.5列目からトップへの導線が断絶され、チェコの守備が遅れ気味になっても速い攻撃を作り出せなかった。

この2試合で分かったことは「本田はどんなシステムでも、どんな位置でも、ピッチに送り出したらボールを収められる。ただしそのために下がりすぎる」ことである。あまり動かないタイプの家長がボランチに入っても、そのスタイルは変わらなかった。そして、それを周囲で生かす術はあまりに足りなかった。

―無理にでも本田の動きを変えるのか? もしくは本田の動きに合わせるために周囲を動かすのか? そして本田不在の時のオプションは?―

というチーム構築の道筋が見えた2試合であった。エンターテインメント性は乏しかっただろうが、この点においては今季のキリンカップは大成功であったと言えよう。


(筆:Qoly編集部 K)


【Qolyインタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側