さて、そんなボスニア・ヘルツェゴビナ代表は現在黄金期を迎えている。世界的なストライカー、エディン・ジェコ(マンチェスター・シティ)をはじめ、中盤にはミラレム・ピャニッチ(ローマ)、最終ラインにはエミール・スパヒッチ(レヴァークーゼン)、GKにはアスミル・ベゴヴィッチ(ストーク)と、各ポジションに有力なタレントを揃える。欧州予選では参加チーム中4位となる30得点を記録し、日本とも対戦する堅守のギリシャにも、1勝1分けと勝ち越している。
ボスニア・ヘルツェゴビナのスタイルを一言で表現すると、“超攻撃的サッカー”と言えるかもしれない。中でも突出しているのが、エディン・ジェコとヴェダド・イビシェヴィッチという破壊力抜群の2トップである。
驚くべきことに、ボスニア・ヘルツェゴビナは過去2年間、ジェコとイビシェヴィッチ以外のCFを招集していない。それどころか、過去2年間に行われた全試合でこの2人が先発を務めており、両者は欧州予選でも10試合に出場し計18得点を奪い去った。どちらもゴール前で仕事をするタイプのストライカーだが、互いの動きを感じ合っており、そのコンビネーションはまさにテレパシー。おそらく、2トップを組ませた時の経験や破壊力はヨーロッパでもトップレベルだろう。
また、同国の特徴としてもう1つ挙げられるのが、フリーダムなまでの左サイドアタックである。左サイドバックにはセヤド・サリホヴィッチ(ホッフェンハイム)が、左サイドハーフにはセナド・ルリッチ(ラツィオ)が起用されることが多いが、両者はどちらも攻撃的な選手。ボスニア・ヘルツェゴビナの最終ラインは常にL字型を描いており、右サイドバックが中に絞って対応している。サリホヴィッチとルリッチが左サイドの高い位置で絡むことが多く、その様子は「フリーダム」と呼ぶに相応しいだろう。ちなみにこのサリホヴィッチ、現在ブンデスリーガで6得点を記録しており、得点ランキングでも上位に食い込んでいる。