左サイドからのコラロフとミルナーの攻撃自体は何度か形として見られたものの、問題は右サイド寄りでプレーするメッシ。当然、意識として左は高い位置を取る事が難しくなる。

そうなると、シティは右サイドをメインとして攻撃することになる。勿論、ペジェグリーニも「右サイドがシティの攻撃において主戦場となる」事を理解していたはずだ。

ある程度右サイドはこのように適切な距離感でやろうよ、というのがシティの主張。

ヤヤ、シルバ、ナスリというテクニシャン3人が揃い、サニャとヤヤ・トゥーレは空中戦に強い。セカンドボールを空中戦で競り勝って、二次攻撃に繋げる形もあった。この狭さであれば、奪われてもプレスをかけて奪い返す事も可能だ。

プレミアリーグにおいても「攻撃時にアタッカーの距離感が近い時に、パス回しからの崩し」で破壊力を発揮するのがマンチェスター・シティの特徴だ。ある程度孤立させることで、ナバスの様なドリブラーを生かすようなパターンよりも、自分たちの生きる距離感でアタッカーの攻撃力を生かそうとしたのだ。

攻撃的に戦う必要があったとはいえ、ナバスではなくナスリを起用し、ヤヤ・トゥーレを2センターの一角に起用した辺りに、ペジェグリーニにとっての美学が見える。

実際、FourFourTwoのスタッツを見てみると、シティのチャンスの多くが右サイドから作り出されていることが解る。


(引用元: http://www.fourfourtwo.com/statszone/5-2014/matche...)

しかし、この右からの攻撃がバルセロナの先制点を生み出すきっかけになってしまう。少し、細かく区切りながら見て行こう。

ちなみに、上の2枚目の写真が、失点が生まれる一瞬前の仕掛けの場面だ。

ここでの注意点は、バルサが数的有利でプレッシングをかけられる状態であること。1枚目とは違う状況ながら、それに気づかずにシティはいつも通り飛び込んでしまう。

ここでは、中央で1対1になっているアグエロやミルナーを使っていくべきだったはずだ。

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