■コンセプトを体現するキーマンたち
冒頭でも述べた通り、今季の岐阜はとにかくパスをつなぐ。
攻撃時は庄司が両CBの間に入り、3バックを形成。両ウイングがタッチラインいっぱいに幅を取り、生じた中盤のスペースはインサイドハーフとサイドバックが使っていく。3-4-3の陣形でパスをつなぎながら崩しにかかるのだ。
昨季の岐阜と言えば、レオ・ミネイロを中心としたカウンターアタックが代名詞だった。わずかな間で大胆なスタイル転換を果たすのは簡単ではない。当然ながら、指揮官の理想をピッチ上で表現するキーマンが不可欠だ。大木イズムの体現者を紹介してみたい。
まずは、チームの核となる2人のスペイン人、ビクトルとシシーニョ。
不動の守護神として君臨する前者は、試合の流れを変えるビッグセーブが持ち味。スペイン人らしくキックの技術も巧みで、後方からビルドアップするチームにピッタリのゴールキーパーだ。
流石の技術で魅せる後者は、かつてU-17世界選手権で準優勝に輝いた実績を持つ実力者。
ミッドフィールドを精力的に動き回り、正確なパスでリズムを作り出す。以前から日本に興味があり、“アビスパ福岡のキング”城後寿の大ファンとしても知られている。ポゼッションサッカーに欠かせないコンダクターだ。