36節 川崎フロンターレ戦(H)
保持に振るのか、カウンターに出るのか。この辺りの割合でずっと苦しんでいる印象が強いのがフロンターレです。
より詳細に触れると、移動コストの問題によるトランジションとサポートの準備ができない場合が多くあり、それによってカウンターをくらってしまう場面があります。また442のプレスもプレスバックが少ない分、CHや最終ラインが晒され場合も見受けられます。
しかし河原創と山本悠樹がCHのコンビを組んだ時はポジション移動の時間の管理や、相手を引っ張り出すためのボール回しを行うことができています。33節のFC町田ゼルビア戦のように、プレスを回避しつつ攻撃に出て行くことも可能になっていました。
対するサンガです。まずやはり考えて行きたいのがプレッシングです。4バックに対して3トップの形になりますが、この場合CBに対してWGを外から覗かせる形を取りながら、CFと片方のIHでCHを管理します。
これを作り出すことによって、SBがSBまで出ていくための時間を作り出すことができます。このハイプレスを押し出していけばいくほど、フロンターレの出口を作り出す選手を前進のソースに割かせることが可能になります。
そうすると、CBも高い位置で迎撃を作り出せる回数が増えていきそうです。この回数を増やせば増やすほど、チャンスを多く作り出すことができるでしょう。さらに442のブロックに対しては3トップへの上のパスとそこから発生するゲーゲンプレスで一気にカウンターに出ていくことが可能になるでしょう。
試合のテンポを落ち着かすことなくプレーしていくことができれば、フロンターレのポジションを取り直す時間を削ることができるのでチャンスを多く作り出せそうです。
29節(延期分) 鹿島アントラーズ戦(H)
残りの試合で最も未知数なチームになりました。ランコ・ポポヴィッチ監督の解任により、チームとしてどのようなものになるかが不透明です。
しかし個々人の能力は疑いようがなく、難しい試合になることは間違いないです。3421なのか、伝統的な442なのか、試合が再開されなければ分からないですが、サンガからするとやることは変わらず、3トップを生かしながら戦いところです。
37節 町田ゼルビア戦(A)
徹底する強さを持ち合わせるチームで、今季のJ1をかき乱したチームです。手数をかけずにターゲットマンにボールを届けていくことで、敵陣に入ってトランジションでの勝負とプレーを終わらせてセットするところからのハイプレス、そしてセットプレーから攻撃を仕掛けていきます。
反応速度と走力が必要になるサッカーですが、ハマった瞬間の火力はとても高いものがあります。さらにハイプレスは424ぽく仕掛けることが多く、できる限り蹴らせて回収、もしくは球足の長いパスを選択させて最終ラインで迎撃を作り出すことを考えています。DMFを配置するチームにはCHを縦関係にするダイヤモンド型でプレスをかけていくことが多くなっています。
しかしここ最近、なかなか勝てないのには理由があります。インテンシティの高いサッカーをするので、ここの疲労感は否めません。さらに対策をされて敵陣でのセットプレーの回数も減ってきているのも勝ちきれなくなっている要因だと思います。さらに442のローブロックです。SBとCBが割れることが多く、横からのボールでピンチを迎えることは多々ある印象です。
だからこそサンガは積極的にチャンネルランを繰り返しながら、SBとCBを割っていきたいところです。そのためにまずはハイプレスを越えていくことが必要になってきます。
これを行っていくために、ゼルビアのCHを縦関係にしながら残るCHを晒すことを行っていきたいところです。これを行うと、3トップへの上のパス+2nd回収のところで優位に振る舞うことができそうです。さらにCBとDMFを主な前進の土台にしていくことができれば、SBを高い位置に押し出して、SHを押し下げることも可能になります。
かなり人を意識する町田ゼルビアなので、これでショートカウンターの威力を下げさせること、またSHが戻らないのならばSBを釣り出すことができるので、SBとCBを簡単に引き裂くことができます。サイド奥をしっかりと取っていくことで、クロスからのフィニッシュで勝利を掴むことができそうです。
38節 東京ヴェルディ戦(H)
堅実で基本に忠実。そしてそれを支える情熱。若き力が躍動し、J1を堂々と戦い抜いています。
しっかりと523のハイプレスと541の守備ブロックの使い分けの線引きが丁寧で、その設計もきちんとなされています。攻撃に関しては保持もカウンターも持ち合わせる多くのことを高いレベルで行えるチームです。
しかし33節の湘南ベルマーレ戦のように若いチームがゆえ、プツンと糸の切れたようなパフォーマンスになることもあります。
さらに弱点として、WBを止められた場合、プレッシングに出ることが難しくなり、1stプレスラインの方向付けが難しくなってきます。そうなると自陣に下がることが多くなるので、苦しくなることが多い印象です。
だからサンガからすると、まずはWBを止める動きと1stプレスラインを広げるところから試合を進めていきたいところです。DMFがいることによってCHを釣り出すのか、CFに管理させるのか、この辺りを突き付けながらWGやIHでWBの管理下に入ってCHの周辺で起点を作っていくと崩しにスムーズに入ることが可能になるでしょう。
さらに押し込むことができると、CHが最終ラインに吸収されることが多くなるので、バイタルエリアを使いながらフィニッシュワークに入ることができれば、ゴールに自然と近づけて行けそうです。ラファエル・エリアスやマルコ・トゥーリオなど、ボックスの外から足を振ってゴールに叩き込むことのできる選手もいるので、積極的にシュートを打って新たな崩しのルートも創出したいところです。
延期分を合わせて6試合残していますが、そのうち4試合がホームで戦えることは大きなメリットだと思います。しかし、デイゲームのホームゲームはまだ勝ててないというスタッツも残っているのも少し怖いところです。
とは言っても、ここで勝たなければ残留することはできません。そして今のサンガにはそれを覆せるだけの選手たちがいます。直向きにゴールに向かい続けるサッカーで残留を決め切りたいところです。
Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|
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