[FUJIFILM SUPER CUP 2025(富士フイルムスーパーカップ)、J1サンフレッチェ広島 2-0 J1ヴィッセル神戸、8日、東京・国立競技場]
2025シーズンの開幕を告げる一戦が行われ、広島が昨季のJ1と天皇杯王者である神戸を2-0で撃破。今季初タイトルを獲得した。
広島は2016年以来の9大会ぶり5度目のスーパーカップを制覇した。この試合で先発出場した日本代表GK大迫敬介は的確な飛び出しとシュートストップでクリーンシートに貢献。昨季は無冠に終わった悔しさをバネに、今季の活躍を誓った。
前回の優勝時はユースの守護神、国を背負うGKに
広島が9大会ぶりにスーパーカップに帰ってきた。
現日本代表の森保一監督の下、昨季限りで現役を引退した青山敏弘(現・広島コーチ)らが躍動して2016年に同大会を制した。当時広島ユースに所属しながらも、トップチームの練習に参加していた大迫敬はこの年の高校年代の選手たちが競い合う「NEXT GENERATION MATCH」に出場していた。
「あのときもトップチームのキャンプに参加してから、(トップチームと)一緒のタイミングでこっち(関東)に来ていました。当時と似たようなシチュエーションだけど、立場が逆になっている。あのときに観ていた舞台に立てたことがすごくうれしいです」
U-18Jリーグ選抜の守護神として、日本高校サッカー選抜と戦った。そして日本屈指のゴールキーパーへと成長した広島の背番号1は、国立の舞台でその実力を遺憾なく発揮した。
前半から鋭い飛び出しで広大なスペースをカバーし続けると、飛距離のあるスローイングやロングキックでカウンターの起点となった。
大迫敬を中心に神戸の攻撃をシャットアウトし、いい守備からカウンターへとつなげた広島は前半12分に先制点を記録。幸先よくリードを奪った広島イレブンは後半25分に追加点をマークし、昨季2冠のJ1チャンピオンに2-0と圧倒した。
「いい内容でゲームを進められたと思います。流れの中から得点を決められて、キャンプの中で積み上げてきたものをピッチ上で全員が表現できました」と守護神はチームメイトのパフォーマンスを称賛した。
今冬、広島はトルコと宮崎県でキャンプを実施。ミヒャエル・スキッベ監督と4シーズン目を迎える中、昨季J1で19得点のFWジャーメイン良ら新戦力を獲得したほか、2023年にトップチーム昇格を果たしたMF中島洋太朗がチームにフィット。
2得点を先取後も鋭い反応でゴールマウスを守ったは大迫敬は「積み上げ」と「融合」に手ごたえを感じている。
「昨シーズンはタイトルを取れませんでしたが、試合を通して自分たちのサッカーに対してすごく自信を持てたシーズンでした。そこに新しい選手が加わったことで、さらに自分たちのスタイルが確立されている。
きょうのジャメくん(ジャーメイン)やユースから上がった選手たちが新しい色を自分たちに混ぜてくれて、その融合が今年は増していると思います」
今季J1優勝に向けてパワーアップした広島。守護神は「目に見えるものを残していかないといけない。数字や失点数、優勝といったものがないとA代表の選手になれないので、このチームでしっかりとパフォーマンスを出していきたいです」と来年に迫ったFIFAワールドカップを見据えたうえで、今季の意気込みを口にした。
まずは今季一つ目のタイトルを獲得した。「きょうの結果が自信になりましたし、いいスタートになった」とリーグ開幕戦に向けて弾みをつけた守護神が、広島を10季ぶり4度目のJ1リーグ制覇へと導く。
(取材・文 浅野凜太郎)