[J1第8節、川崎フロンターレ 2-0 湘南ベルマーレ、4月2日、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu]
川崎が湘南を2-0で下し、今季リーグ戦初の連勝を飾った。
ホームチームは湘南の5バックに手を焼いたが、サイドから重点的に攻め続け、後半5分に決勝点を奪取。同37分にはクラブアカデミー出身であるMF大関友翔(ゆうと)が待望のホームデビューを果たすなど、今後の試合に弾みをつける戦いだった。
憧れのピッチで奮闘した背番号16だったが、悔しさが残るホームデビュー戦となった。
とどろきデビューで悔しさをあらわにした20歳
川崎の生え抜きにとって、とどろきスタジアムは憧れの場所だ。
この日、ホームデビューを果たした大関はFC多摩ジュニアユースから川崎フロンターレU-18へ進んだ20歳。2023年にトップチームへ昇格し、昨季はJ3福島ユナイテッドFCで武者修行を積むと、リーグ戦32試合8得点6アシストを記録し、J3のベストイレブンにも選出された。
満を持して帰ってきた大関は、ここまでリーグ戦2試合途中出場。「いつでもチャンスが来ていいような準備をしていました」と、ベンチでうずうずしながら、この日の試合を見守っていた。
試合はホームチームが主導権を握ったが、敵軍の5バックを攻略できずに前半はスコアレスで折り返した。
ただ後半の立ち上がり5分にゲームは動いた。ボックス内中央で駆け上がってきたMF河原創がFWマルシーニョとパス交換をしながらペナルティエリアへ侵入。最後はMF脇坂泰斗(やすと)主将が泥臭く右足で押し込み先制した。
その後も川崎はボールを保持し、ゲームを支配。1点リードの場面で迎えた後半37分に大関は脇坂と交代してピッチに足を踏み入れた。
「『やっときたな』という感じでした」と生え抜きは投入直後からアクセル全開だった。アグレッシブなプレッシャーで二度追い、三度追いと繰り返し、相手DFを翻ろう。ボールを受ければ、落ち着いたタッチで相手をいなした。
すると後半45分に絶好のチャンスが訪れた。
ボックス前でこぼれ球を拾った大関は右足でシュートを放ったが、相手GKに止められて背番号16は天を仰いだ。
再度ボールを回収した川崎イレブンは左サイドにいたFW宮城天にパスを出し、果敢な仕掛けを見せた背番号24が倒されてペナルティキックを獲得。これを同47分にキッカーの宮城が落ち着いてゴール右側に突き刺し、ダメ押しの2得点目を奪った。
勝利を決定づける追加点にスタジアムが沸く中、大関は地面を叩いていた。
「少し空回りしてしまった部分がありましたし、決めなければいけなかった。悔しい想いがほとんどです」と唇を噛んだ。
大関は試合終了後も両手で地面を叩いた。とどろきデビューを白星で飾れた喜びはあったが、決定機を仕留められなかったと悔しさをあらわに。生え抜きにとってホームデビューはほろ苦いものとなった。
「あのようなチャンスをものにしていかなければいけない立場ですし、もっと自分の良さを出す必要がある。代表に呼んでもらえるような活躍、目に見える結果を出していけるように頑張りたいです」と20歳は今後の活躍を誓った。
川崎は次節、今月6日の午後2時からアウェイの町田GIONスタジアムでFC町田ゼルビアと対戦する。
「世界で一番尊敬している選手」だと話す中村憲剛氏に一歩でも近づくため。大関はこの日を悔しさを糧に成長を果たす。
(取材・文 浅野凜太郎)