ベンチ前で立ち尽くすほどの悔しさから前を向けた理由
椿は得意のドリブルで相手を翻ろう。独特なステップとボディフェイントでディフェンダーを揺さぶると、一瞬のスピードで置き去りにした。守れば自陣ボックス付近までプレスバックし、チームの勝利を第一に考えた。
1-1に追いついたホームチームは左サイドの椿と右サイドのFW田中和樹を中心に攻め立てた。「満点ではなくてもハードワークできていた」と、同点弾の勢いそのままに逆転したかった。
ただ次の得点が遠かった。そのまま前半を折り返すと、後半8分にオウンゴールから勝ち越し弾を献上。さらに同27分にはFWカルリーニョス・ジュニオが退場し、一人少ない状況となった。
椿は左サイドから局面を打開しようと足を止めずに奮闘し続けたが、後半33分に途中交代。逆転を目指して、選手全員が広大なスペースをカバーし合ったが、大宮の堅守を崩しきれなかった。千葉は前後半を通じて計13本のシュートを放ったものの、試合はそのまま1-2で終了した。
敗因について問われた背番号14は「個人の質のところというか…。僕も仕掛ける場面が何度もありましたが、あれだけチームが(ボールを)回せている中で決定的な仕事ができなかったので、力不足を感じています」と、国立の舞台で結果を残したかった。
試合終了直後はベンチ前で立ち尽くし、しばらく動けなかった。それでも背番号14はJ1復帰のためにすぐさま前を向くべきだと、イレブンに呼びかける。
「きょうは悔しいですけど、次こそ大事になると思う。きょうの試合でJ1昇格がなくなったわけではないですし、まだ首位を走っている。みんなショックは受けていると思いますけど、いまのこのチームなら次へのいい準備が必ずできる。そういう選手たちがそろっているので、大丈夫だと思います」とドリブラーを筆頭に、千葉は優勝街道を突き進む。
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次節は11日午後2時にアウェイのアシックス里山スタジアムで現4位のFC今治と対戦する。上位対決が続く中、リーグ戦3戦未勝利の悪い流れを背番号14が断ち切ってみせる。
(取材・文 浅野凜太郎)