紙一重の戦いを制するために
この日、サイドアタッカーのMF椿直起とFW田中和樹を中心にアタックし、ペナルティキック含む計9本のシュートを放った千葉だったが、仙台GK林彰洋(あきひろ)の牙城を崩せなかった。
鈴木大は「サイドは警戒されている」とイレブンの課題を指摘した。
「自分たちの強みは速い攻撃ですが、しっかりと対策された。そこをどうやって打開するのかが、また一つのポイントになると思います。(攻撃の)引き出しが一個しかないと、相手も対策しやすい」
ここまでリーグ戦16試合2得点4アシストの背番号14と、リーグ戦15試合2得点2アシストの背番号7が駆け抜ける千葉の両サイドは強力だが、それ以外の攻撃手段も構築したい。
前後半を通じてボールを保持したが、枠内シュートはペナルティキック1本に留まった。主将はゲームを支配する時間が長かったからこそ、二の矢、三の矢と手を打つべきだったと反省した。
「何かサプライズを起こすような立ち位置だったり、相手が嫌なことをするべき。きょうだったら、僕とトリ(鳥海)がボールを持っていたので、簡単に裏へ蹴ってセカンドを拾うとか、奪ってから縦パスを入れるとか、もっと効果的に攻めれたんじゃないか…。あとは、ボールを回しながらでも違うポジションを取って、相手の嫌なところに入っていくみたいなプレーは必要だったと思います」
攻撃面での苦戦を強いられ、得点を奪えないまま試合終了。惜しくも勝利できなかったが、イレブンは計14本もの被シュートを浴びながらも、集中したディフェンスで3位仙台を完封し、貴重な勝点1を手にした。
試合後、仙台戦を含む直近3試合での1勝1分け1敗という戦績を振り返った鈴木大は「どれも本当に紙一重の戦いだった。どちらに転がってもおかしくない試合をものにできたところもあるし、負けてしまったところもあります。だけどポイントを積み上げるという意味では、そんなに悪くないと思います」と評価した。
その上でキャプテンは「ただ、危機感を持たなければいけない課題も毎週出ている。きょうにしても、しっかりとブロックを作ってくる強固な相手に対して、どうやって攻撃するか考えていかないと、これからどんどん厳しくなる」と危機感を口にし、オフェンス面での改善は急務だと呼びかける。
次節は25日午後2時にアウェイのPEACE STADIUM Connected by SoftBankでV・ファーレン長崎と対戦する。
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鈴木大は首位堅持に向けて「この5月は、自分たちがもう一度流れをつかむための大きなターニングポイントだと思っている。次の試合も長崎のアウェイで厳しい戦いになりますが、勝ち切る流れに戻すために何が必要か、考えてやっていかなくてはいけない」と、リーグ戦2試合ぶりの白星に向けて気を引き締めている。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)