昨季J2得点王の帰還は…

前年に比べてスカッドもさらに充実し、各ポジションに質の高い選手がそろう今季の千葉は、前項で挙げたポイントを改善するために、今夏の移籍市場で17季ぶりのJ1復帰に向けたブースト補強を敢行したいところだ。

昨季は夏前に鈴木大、久保庭が長期離脱を余儀なくされたほか、日高もケガなどによる欠場が続いた。

結果的に、両サイドバックでプレーできるDF小川大貴(J3松本山雅FC)やセンターバックのDF山越康平(J2徳島ヴォルティス)らを期限付き移籍で獲得していた。

J2第16節のベガルタ仙台戦で、イビチャ・オシム元監督へのメッセージを掲げた千葉サポーター(写真・縄手猟)

そこで筆者は潰し屋タイプの守備的ミッドフィルダーと、サイドの補強を推したい。

前者については、負傷などによる離脱が少なく、センターバックとしてもプレー可能であればベスト。後者については、願わくば両サイドでプレーできて、なおかつサイドバックとサイドハーフを兼務できるウィングバックを主戦場とする選手が理想に思える。

最後に注目するべきトピックスは、昨季23得点を奪ってJ2得点王に輝いたFW小森飛絢(ひいろ)の去就だ。今冬に期限付き移籍したベルギー1部のシント=トロイデンでは公式戦5試合の出場に留まり、総プレー時間17分のノーゴールでシーズンを終えた。

クラブは入れ替え戦の末に1部残留を達成したが、同選手の進退はいまだ不透明であり、シント=トロイデンとの契約は来月30日までとなっている。

千葉にとってフォワードの人員は足りているが、夏前に同選手が帰還するとなれば、これ以上ない戦力となるはずだ。

昨季J2得点王に輝いた小森

小森は豊富な得点パターンを持ちながらも、守備時には前線からチェイスもできる。椿や田中、横山といった選手たちとの連係はもちろん、指揮官の戦術を深く理解している。

また、昨季のJ2得点王は新加入FW陣とも相性が良いプレーヤーだと考察する。

千葉はトップ下を採用していた昨シーズンとは違い、今季は最前線をツートップぎみに配置している。現スタメンは今季より移籍してきたカルリーニョスと石川が務めている中、組み立てに参加できて、かつワンタッチパスなどで攻撃にリズムを生み出せる小森は、千葉のアタックにサイド攻撃以外のバリエーションをもたらしてくれるだろう。

昨季は背番号10を背負い、ジェフサポーターからの信頼と愛を勝ち取ったストライカーの帰還が、J1復帰に向けたラストピースになりえる。

J1復帰への機は熟した

J1復帰への機は熟した。小林監督は次のリーグ戦勝利をもって、クラブの象徴イビチャ・オシム元監督、ユン・ジョンファン監督が記録したジェフでのリーグ戦通算最多49勝を上回る50勝目を達成する。

就任3年目の指揮官が作り上げた魅力的なサッカーは、フクダ電子アリーナに多くのサポーターを呼び込み、訪れる人々を熱狂させている。

小林監督(写真・縄手猟)

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この熱を冷ましてはいけない。J2首位で走り始めた今年こそ、リーグが佳境を迎える夏までに懸念材料をすべて払拭し、盤石の体制でクラブ一丸となってJ1復帰をつかみ取りたい。

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