失点シーンの分析

失点は谷くんのポジショニングに問題があったと思う。ゴール幅から出てなぜかチャレンジしに行っちゃった…。ワンタッチで出したときに角度もほぼない中で、なぜポストより前へ出てしまったのか理解できない。

このポジショニングはもしかしたら谷くんの癖なのかもしれない。そして、あのシチュエーションでピンチをニアで防いだ成功体験があるのかもしれない。

もう一つは代表チームの守り方であの場所にボールが入ったらGKは、「ニアを『積極的に』消しにいけ」という約束事があるのか…。もしそうだとしたら仕方ないか…(私にはよく理解できないが)。

総じて失点シーンは、谷くんのポジショニングミスだったと思う。

痛恨の失点を喫した谷(左)

彼は身長も(187センチと)高いし、ゴール幅を守ることもできるからそのポジションを取ったがゆえに、ゴールラインに近いところを守らなければいけなくなってしまった。

あの場面はニアに集まってしまった選手がポジションを取り直したときに、視界があまり良くなかったのではないかと考えられる。

ポジショニングのミスで谷くんが失点したと書いている媒体があったら、俺はその記事を支持するし、それに対して積極的に意見したいと思う。ただ残念ながらチームや個人としての守り方がどうだといった評価を書いている媒体を俺は見ていないね。

いまの谷くんの立場だと爪痕を確実に残さなくてはならない立ち位置なのは明確であり、あそこで「守ってやる」という『攻撃的なキーパー』の感覚でニアのボールを取りに行った可能性もある。

もし谷くん本人があの場面は、守らなければと思って積極的にいったと話していたら俺は谷くんの意見を絶賛すると思う。

例えば「僕は何としてでもあそこで大ヤマを張って、このゲームを何とかしてゼロで抑えたかったです」と言っていたらの話ね。

ただ習慣的にミスをしている場合は、仕方ないとしか思えないよね。

チャンスは奪われてしまう。それがGKというポジションだから。でも与えられているときに何もできなかったら、今度は自分がチャンスを奪われてしまうよね。

なぜ?日本代表、森保監督が頑なに呼ばなくなった5名

(高木義成)

東京ヴェルディ1969、名古屋グランパスエイト、FC岐阜に所属、18シーズンでJリーグ通算238試合に出場した守護神。2017年に現役を引退した。 Web Football Magazine Qolyの専属評論家、オフィシャルコラムニストとしてサッカー界の疑問や問題などに切り込むQolyオリジナルコンテンツ『高木義成の高木式GK視点コラム』を連載。 現在はタイ在住で、料理人として新たな道を突き進んでいる。

【厳選Qoly】日本代表、「E-1選手権の初招集」から1年以内にW杯出場を成し遂げた7名