・堅守が自慢の横浜FMだったが……

昨シーズンはリーグ戦最少失点(29失点)と堅守を誇った横浜FM。J1屈指の攻撃力を持つ川崎Fでもそう簡単に崩せないと睨んでいたが、その予想はわずか3分で覆された。

川崎Fが十八番である巧みなパスワークで敵陣深くに侵入していくと、ペナルティエリアの左でボールを受けた小林悠がシュート気味のクロスを送る。それに反応したのは右ウイングバックのエウシーニョ。攻撃性能の高さに定評のあるブラジリアンが先制点をマークした。

早々と1点を追う展開となった横浜FMはロングボールを多用し、相手ディフェンスラインの裏を狙う攻めを見せる。それが実ったのは前半16分。中澤佑二のロングパスを受けた小林祐三が相手ディフェンスラインの裏を完全に取り、シュートモーションへ。守護神・西部洋平の股を抜くシュートを流し込み、横浜FMが同点に追いついた。

しかし、その6分後に再び試合が動く。大久保のパスを受けたエウシーニョがグラウンダーのクロスを打ちこむと、ペナルティエリア中央で待ち構えていたのは小林悠。これをきっちりと決めて、川崎Fが勝ち越しに成功した。

前半のうちに同点に追いつきたい横浜FMは、ロングボール主体の攻撃に加え、左サイドの兵藤を中心に攻撃を企む。だが、連動性に欠け、決定機を作るには至らない。1トップに入った齋藤は中々ボールに触ることができず、得意のドリブルは影を潜めた。


・試合を大きく左右した“次の1点"は川崎Fの手に

ホームのサポーターに勝ち点3を届けたいモンバエルツ監督は、後半開始から右サイドの奈良輪に代えて、ストライカーの伊藤を投入。齋藤と伊藤が2トップを組み、2列目の右に藤本、左に兵藤を置く4-4-2へと布陣を変更した。

すると、早速その効果が現れる。前線でタメを作れる伊藤の存在により、攻撃が活性化し始めたのだ。前半とは明らかに違う迫力ある攻撃に、スタジアムのボルテージも上昇。同点ゴールの匂いが漂う。

一方の風間監督は後半21分、エウシーショに代えて杉本を投入。大久保と杉本が2トップを組み、2列目の右に小林悠、左にレナトを置く4-4-2へと布陣を変更し、相手に傾きかけた流れを手繰り寄せようとする。

そしてその6分後、結果的に試合を大きく左右した1点が川崎Fに入る。ペナルティエリア内に侵入した中村憲剛が左足でクロスを送ると、大久保が頭で合わせる。3年連続の得点王を狙うエースのゴールにより、リードは2点となった。

まずは1点を返したいモンバエルツ監督は後半33分、中町公祐に代えて佐藤優平をピッチへ送り込む。対する風間監督も後半44分にレナトに代えてセンターバックの井川祐輔を投入。再び3バックへとシステムを変更し、逃げ切りを図る。結局、2点差のまま試合は終了。川崎Fが敵地で隣町のライバルを圧倒した。


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