カルヴァン・フィリップス

私がより熱心にゲームを追ったこの2年間で、最も気に入ったプレーヤーがこの男だ。もともとオフェンシブな役割を任されていたフィリップスは、ビエルサによって中盤の底へと主戦場を変えた。

ヤンチャな見た目通り、気性の荒いハードなスタイルを全面に押し出す地元出身プレーヤーであるが、強靭な下半身でのタックルを見舞う一方で、オンボール時には非常に冷静にプレー判断を下せる(このキャラの度胸が成せる技でもある)。

私の見立てでは、ウェストハムのデクレン・ライスとアストン・ヴィラのジャック・グリリッシュ(特に、懐の深いボールの持ち方)の合いの子のようなスキルを持ち併せた選手だ。

押し並べてパスサッカーを志向するグループの多くは、サイドバックと同じ、もしくはそれ以上にこの“4番”を重要視するが、ペップの愛したセルヒオ・ブスケツ(ないしはフェルナンジーニョやロドリ)、マウリシオ・サッリのスタイルの体現者であるジョルジーニョなどと比較すると、この男のダイナミズムは群を抜いており、縦横広大なスペースに顔を出せる心肺機能と脚力を有する。

ロングレンジのパスバリエーションも豊かであり、プレースキッカーをも務めていることも、大きな魅力だろう。今月、ガレス・サウスゲイトが招集をかけたフル代表においても、マスターピースと成れる可能性は十分にあるタレントである。