マンチェスター・ユナイテッド(プレミアリーグ)OBのデイヴィッド・メイ氏が認知症に苦しむ元選手の存在を明かした。6日、イギリス『The Telegraph』が伝えた。
1994-95シーズンにユナイテッドへ加入し、そこから2002-03シーズンの退団までに公式戦118試合出場。同クラブではUEFAチャンピオンズリーグの優勝を含む7つのタイトル獲得に貢献してきた。
センターバックとしてユナイテッドの黄金期を支えたメイ氏は「みんな、それ(認知症)を知ることを死ぬほど恐れている」と引退後の選手たちの近況を明かした。
「認知症は労働災害なんだ。いま、選手たちに話しかけると、『検査を受けたか?』と聞かれる。でも彼らはすぐに、『いや、知りたくない』と言うんだよ」
今年に入ってからもハル・シティなどでプレーした元FWディーン・ウィンダス氏がステージ2の認知症だと診断されたと報じられる(『BBC』)など、サッカー界では認知症の魔の手が迫っている。
神経変性疾患に苦しむ元サッカー選手を支援するグループの一員であるメイ氏は「キッチンに行って何かを忘れると、私は『認知症になったのかな?』としか考えられないんだ。それが過ぎ去れば、私はまた元気になるが、そんな考えばかりが頭をよぎる」と自身も認知症に怯えている。
「私は今年55歳になる。10年後に子どもたちが私の面倒を見なければいけなくなり、彼らと話すことも理解することもできないなんてことは避けたい」
2017年にFA(イングランドサッカー協会)が委託した調査によると、サッカーのディフェンダーは非競技者に比べて神経変性疾患と診断される可能性が5倍も高いという。現役時代にディフェンダ―として何度もヘディングをする機会があったメイ氏は気が気でないようだ。
「子どもの頃、練習中、試合前、試合中、何度もヘディングをした回数を数えてみると、その数は何千回にもなる。金曜日にはコーナーキックやフリーキックでヘディングを30から40回やる。ゴールキーパーからのボールであれ、フリーキックからのボールであれ、ヘディングはプロボクサーの80%のパンチで打ち負かされるようなものだと言われているんだ」
「1980年代にプレーしていた選手の中には、認知症に苦しんでいる元チームメイトについて話す選手がかなりいる。名前は挙げないが…。」
40歳までプレーした元ハルFW、55歳で認知症と診断 同世代選手は「自分もどうなるか心配でたまらない」
サッカー選手にとって深刻な問題となった認知症。メイ氏はウィンダス氏を引き合いに出し、「彼は私と同じ年齢で、自分の将来がどうなるのか心配でたまらない」と不安を口にした。