自分で選んだ名門のエースナンバー
今季からエースナンバーである背番号10を背負う横山は「やっぱり10番はチームの顔になると思います。そのチームの顔として、形から入りたかった。10番ならそれなりの活躍をしないといけないと周りからの見られ方もありますし、そういうプレッシャーを自分に与えたいという気持ちもあって『10番を付けさせてほしい』とお願いをしました」と明かした。
昨季はベルギー1部シント=トロイデンへ期限付き移籍したFW小森飛絢(ひいろ)がエースナンバーを背負ってリーグ戦38試合23得点と圧巻の結果を叩き出した。小森はシント=トロイデンの入団会見で横山に「ジェフの10番をつけるという意味で、結果で証明してほしいです。J1昇格に導くような選手になってほしいです」と思いを託していた。
点取り屋の小森とは違い、横山は卓越したテクニックと相手の急所を見抜く視野を持つチャンスメイカーだ。この日の試合では相手をドリブルではがし、チャンスを演出。後半15分には相手ディフェンスラインを切り裂くスルーパスで髙橋のゴールをアシストした。後半44分に交代で下がるまでいわきの包囲網は横山をつかまえ切れず、新背番号10は圧倒的な存在感を見せていた。
横山は小森に託された思いに「小森選手だけじゃなく、いままでジェフで10番を背負ってきた人たちは、それぞれの10番らしさを表現していたと思います。また飛絢とはプレースタイルも違うので、10番として何を表現するのかも変わってきます。でも辛抱強さとか我慢強さ、はい上がる力みたいなものは、ジェフとして表現しないといけない。 それを率先して表現する選手が10番だと思うので、そこを表現していきたいという気持ちですね」 とエースナンバーを背負う覚悟を打ち明けた。
この日は相手の激しいプレッシャーに苦しみ、千葉のシュートが4本に対していわきに18本のシュートを打ち込まれた。それでも横山が話すように我慢強さ、劣勢でもはい上がる気持ちの強さはプレーに表れていた。少ないチャンスであっても、決して見逃さない攻撃センスで白星を手繰り寄せた。
東京ヴェルディの下部組織で育った横山は「やっぱり重さはしっかり感じています」とオリジナル10の名門で背番号10を身に着ける意味を理解している。だからこそエースとして開幕戦は結果を出さなければならなかった。1ゴール1アシストとチームを勝利へと導いた横山は自身に厳しい目標を課していた。
「開幕戦に向けて目標を立てる段階で、2ゴールなのか、2アシストなのか、1ゴール1アシストなのかというその3ポイントを自分の中でつけたかったので、目標を達成できました」とミッションを達成したヒーローは、PK時に見せた笑みとは異なるあどけない笑顔を浮かべていた。
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チームは22日午後2時に次節カターレ富山とホーム開幕戦を迎える。横山は「フクアリで勝利を分かち合いたいです」と意気込んだ。新たな背番号10がチームの原動力となり、悲願のトップディビジョン復帰へと導く。
(取材・文 高橋アオ)