[J2第1節ジェフユナイテッド千葉 2-0いわきFC 、2月15日、福島・ハワイアンズスタジアムいわき]

17季ぶりのJ1復帰を目指す千葉はいわきを2-0で破り、2季ぶりの開幕白星スタートを切った。いわきの激しいプレッシャーに押し込まれ、前半だけで被シュート数12本と圧倒された。それでも泥臭い守備で決定機を阻止し続け、前半31分にMF横山暁之が先制し、後半15分に右サイドバックで先発したMF髙橋壱晟がダメ押しループ弾でトドメを刺して勝利をもぎ取った。

今季は大事な試合を勝ち切るチームに

立ち上がりから絶望的な状況だった。いわきの切れ目のないプレッシャーに押し込まれる展開に持ち込まれ、千葉イレブンは防戦一方に。勝ち筋が見えないシチュエーションに陥り、駆けつけた千葉サポーターも顔が青ざめていた。

前半だけで被シュート12本と猛攻を受けるも、ディフェンスラインは集中力を切らさず失点を許さなかった。劣勢の中でも髙橋は「風向きも悪かったし、ピッチもボールが走らなかった。本当に難しい状況だったんですけど、攻撃をすることよりも守備で失点をしないこと。それがすごく重要な前半だったと思っていて、それができたのが本当に大きかったですね」と歯を食いしばりながら耐え切った。

前半31分に先制するも、相手の攻撃は緩まず。いつ同点に追いつかれてもおかしくない展開にビジター席は時折悲鳴に近い声が聞こえた。それでもイレブンは少ないチャンスから違いを作り出した。後半に入って徐々にいわきの運動量が落ち始め、同15分に髙橋がラインブレイクを図ると、横山のスルーパスを受けて虹を描くような芸術的ループ弾で勝負を決めた。

「うまく間で受けてシュートを打てたと思うので、キーパーの動きを見れたのが良かったと思いますね」とヒーローはほほ笑んだ。守れば身体を張ったプレーで泥臭くピンチを防ぎ、攻めれば得点を挙げる活躍とこの日の陰のマンオブザマッチといっていいほどの貢献を見せた。

ゴール後に歓喜の輪を作って髙橋(左から二人目)のゴールを祝った千葉イレブン

昨季はJ1昇格プレーオフをかけた最終節モンテディオ山形戦で0-4と大敗し、目前でJ1復帰のチャンスを逃してしまった。そこで味わった悔しさをイレブンはもう2度と繰り返さない。髙橋は「まず勝負の試合で勝てるチームじゃなきゃいけない。僕らは周りから大事なときに勝てないチームだとよく言われています。それを払拭したいというのがまず一番にあります。ディフェンスの選手なので、守備で失点を減らすことができれば勝ち、引き分けにできる試合が多くあると思うから、そこが一番の今年のテーマ。それをうまく表現できたのがきょうの試合だと思います」 と決意を明かした。

昨季とは違って大事な試合で勝ち切る—。当然言葉にすれば簡単だが、ピッチで表現することは難しい。Jリーグで同様の目標を掲げた多くのチームが言葉通りのサッカーを表現できずに涙を飲む光景は数えきれないほどあった。ただ今季のジェフはその言葉通りの違いを見せた。昨季2連敗したいわきに粘り強く戦い続け、劣勢の中でも白星を手繰り寄せた。

「いわきに勝った記憶があんまりなくて、去年ダブルを食らっていますしね。絶対に勝ちたい試合だった」と背番号2。これまで大事な試合を落とし、下を向いていたチームはもう過去の話だ。開幕戦の1試合とはいえ、今季の千葉は違うとサポーターに証明する上で、この日の勝利は必要不可欠なものだった。

もうサポーターを悲しませない。その思いはイレブン全員が胸に刻んでいる。「1試合1試合しっかり積み重ねて勝点を重ねていくことがJ1に行くためには絶対必要なことなので、きょうの試合でもまだ課題がいっぱいあると思うので、また次に向けて準備したいと思います」と17季ぶりのJ1復帰に向けて慢心はない。

【インタビュー】ジェフユナイテッド千葉が誇る現代型サイドバック髙橋壱晟が試行錯誤する最新の個人戦術とは

チームは22日午後2時に次節カターレ富山とホーム開幕戦を迎える。ちばぎんカップでは宿敵のJ1柏レイソルに0-3で敗れたが、本拠地開催の今季初公式戦での敗戦は許されない。2015年シーズンから開幕連勝スタートを切っていなかったこれまでとは違うと証明してみせる。

(取材・文 高橋アオ)

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