欧州帰りの男は明確な目標がある
この日は攻守で獅子奮迅(ししふんじん)のパフォーマンスを見せた高嶺主将は、小中高時代に札幌のアカデミーで育った生え抜きだ。筑波大を経てトップチームに復帰すると、ルーキーイヤーから主力に定着。2023年シーズンからJ1柏レイソルへ移籍し、昨年7月にはベルギー1部コルトライクへ欧州挑戦を果たした。
ただ順風満帆にキャリアを歩んでいた男は、古巣の窮地(きゅうち)を見逃せなかった。今季からJ2で戦う札幌へ今年1月に電撃加入すると、主将に就任して1シーズンでのJ1復帰に向けてチームをけん引している。
ただ欧州から国内へ復帰した選手はモチベーションの維持やフィジカルコンタクトの基準差などで苦しむ選手もいる中で、キャプテンは目標を見失わずチームと向き合って奮闘している。
「徐々にステップアップしてきている中で、いまはJ2で戦うというところで、自分の目標をしっかり明確に保つことができないとモチベーションなどに波が出ちゃうと思う。 今年に関していえば、自分が戻ってきてJ1昇格という明確な目標があるので、 モチベーションは保つことができています。 そこの毎日の積み重ねは難しい部分もある。戦術的なところは難しさというよりチームの色なので、そこに自分がどうアジャストしていくかだと思う。 サッカーで難しいというところはあまり感じていません」と胸中を明かした。
この日は相手の選択を読み、出足の早いディフェンスでピンチの芽を摘むシーンを見せた。ベルギーでは持ち前のクレバーな守り、優れた戦術理解能力で大きく存在感を見せていた。さまざまな守備的ポジションをこなせるユーティリティ性を持ち合わせるため、背番号6の存在はチームの生命線となっている。
「サイドバック、センターバックもやる機会があるし、ボランチもやる機会がある。そこによって守備の仕方はもちろん変わってくる。ボランチだったら裏はあまり気にしなくてもいいですけど、サイドバック、センターバックは、裏を気にしながら守らなくちゃいけない。その中でボールが当たったときのプレッシャーは、自分の中で自由にやらせないように意識しています」
6日午後2時にホームの大和ハウス プレミストドームにジュビロ磐田を迎える。昨季はJ1でしのぎを削ったライバルを打ち破って連勝街道へと進みたい。
札幌の背番号6は「磐田に勝てば(勝点で)逆転する状況だし、この4連戦は自分たちが目標に掲げている(勝点)7は最低(でも)取りたいと話をしていた。次も必ず勝って上位に食い込んでいきたい」と闘志を燃やした。
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欧州1部までたどり着いた生え抜きの視線の先はチームのJ1復帰だ。中盤戦の初戦と位置づけする山形戦を制した粘り強いイレブンが着実に白星を積み上げる。
(取材・文 高橋アオ)