歓喜に沸いたサポーターたち

『厚別の番狂わせ』はサポーター間では伝説の試合となっている。当時厚別競技場に駆けつけたいわきサポーター約20人の中にひるさん(50代男性会社員)がいた。

ひるさんは「勝てる気はまったくなかったですね。J1にいるチームと対戦するだけでうれしかった。現地で見られるチャンスがあるんだったら、『行こう』となりました」と、あの伝説の試合に訪れたという。

そして激しい攻防の末に、歴史に残るアップセットをいわきが果たし、多くのサッカーファンを驚かせた。それはいわきサポーターたちも同じだった。

この日4168人の観客が訪れ、試合終了までサポーターは大声でチームを後押しした。

「延長までいったときは、僕らは満足していました。勝てるわけがないという前提でいるから、延長で勝ったときはうれしくて泣きました」と当時を振り返り、えびす顔を浮かべていた。

清水エスパルスと対戦したときよりも感慨深さがあると語ったひるさんは、この日もハワイアンズスタジアムいわきに訪れていた。あの伝説の一戦の再現を望んでいる。

「8年間で僕らはトップのところとでも戦えるというところを見せて勝ち切りたいですね」とイレブンにエールを送った。

現行のチーム体制になってからいわきを応援している中心応援団体『Lino La Iwaki』(通称リノラ)のまとめ役を務める中島さん(20代男性大学院生)は、パブリックビューイング越しにチームを応援していたという。

この日も熱い声援を先導した中島さん

「これまでただJリーグを目指すチームがあるというのがあって、ただ県リーグをこなしていたのが、あそこで一気に本格的になったというか。Jリーグを目指して始動すると言って始まったチームが夢じゃなくて現実味を帯びてきたと思える試合でした」

あのときははるか上の存在だった存在が、8年後には同じリーグカテゴリーで戦う。理想通りの成長曲線を描いてたどり着いたいわきにさらなる躍進を期待している。

「本当はお互いJ1同士でやりたかったですけど、気負うことなくいいイメージを持って戦ってほしいです。8年前もフィジカルを全面に出した戦いをしていたので、きょうも全面に出していいイメージを持ったまま勝ってほしいですね」と期待を口にした。