背番号66は鳥取からはい上がる

土肥はここまで公式戦4試合に出場。デビュー戦となった天皇杯1回戦の九州1部ヴェロスクロノス都農(つの)戦は1-2で敗戦したが、ホームで行われたJ3栃木シティFC戦で途中出場し、1-0の勝利に貢献した。

ホームでの勝点3は格別だ。「やっぱり戻ってきたなと思って、うれしかったですね」とサポーターの前でプレーできる喜びを誰よりも噛みしめた。

鳥取では主にゲームメイクを任されている。スリーバックを使用する林健太郎監督の戦術には手ごたえを感じており、指揮官からも的確な状況判断を評価されている。

また、鳥取で生活を始めてから、体重も過去最高の76キロまで増加。

「筋量が増えました。鳥取は海鮮がおいしいですし、いっぱい食べているからですかね(笑)。練習後にいただく差し入れの多さにもびっくりしていますし、ファンの方は距離が近くて、あたたかいという印象です」と新天地の魅力を語った。

肩を組み勝利を喜ぶ土肥とFW棚田遼(提供:ガイナーレ鳥取)

一方で、明確な課題は守備面の強化だ。

「いまはボランチでもパスだけでは厳しい世界です。二列目からの飛び出しも求められていますし、守備の部分や強度のところはずっと言われている課題なので、そこに取り組んでいます」とレベルアップしたい。

J3第19節を終えた時点で鳥取は9位に位置しており、直近5試合で4勝1敗と好成績を収めている。リーグ戦では未だに先発出場の機会こそないが、ここからチームの勢いを加速させたい。

鳥取でまとう背番号66は、憧れの青山や広島の現背番号6であるMF川辺駿(はやお)へのリスペクトであり、中学年代に所属していたRIP ACE SCで背負っていた番号だ。

ドリブル突破する土肥(提供:ガイナーレ鳥取)

今年24歳になった土肥は、初心にかえりたいと言葉に力を込めた。

「この4カ月間はサッカーができないことに対してすごく苛立ちましたし、本当に味わったことのない挫折と苦しみでした。でもいろいろな人に支えられて、ここまで残って、なんとか鳥取でプレーできると決まった。

チームにはサポーターがいて、スタジアムも盛り上がっているので、ファンサービスで感謝を伝えたい。青さんもファンサービスでは一人、一人に向き合っていて、本当にすごかった。僕も笑顔でサポーターに向き合いたいと思っています」

一時は引退も考えた男が、鳥取から再起を図っている。

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「自分はベンチで終わるような人間じゃないので、まずはしっかりと試合にスタートから出られるようにしたいです。そしていつか広島と再戦できるくらいまで活躍して、またオファーがくるように頑張りたいです」とここからはい上がる。

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