ここ1カ月あまり、自らに早寝早起きの重要性を説き、「もう夜更かしはしないぞ」と決め込んでいたのだが、先日、久しぶりに戒律を破ってしまった。U-21欧州選手権予選2009の誘惑に負けてしまった形だ。「夜更かし」と格好は付けてみたものの、その原因はほとんど海外のライブ中継を見たいがためのこと。子供というのは「みんなの話題についていけない」と親に泣きの一手を仕掛け、いつもの就寝時間をオーバーして夜のドラマを見たりするものだが、大人になっても自己決定した就寝時間を破っているようでは、自分もまだまだ子供だと言わざるをえない。というより、サッカーという病にやられている。見たい選手や見たい試合があるときは寝る間も惜しむ、重度のサッカー中毒者だ。

この日に選んだ試合は、U-21ギリシャ代表vsU-21ポルトガル代表。しかし、試合内容や結果は割愛させて頂きたい。フランス語で貯蔵庫、宝物庫。英語でも同義で流用されることがある単語である、Reservoirをタイトルに選んだのだが、この題名選択はここが宝物庫になるようにという願いも含まれており、あくまでも世界中に眠る宝物を掘り起こすことを主眼に置いているということをご理解頂きたい。 さて、DF編第1弾として、今回は宝物を3人紹介したい。皆様から「誰だ!?」というリアクションが返ってくるということは百も承知。この章が、世界的には無名の域である彼らの名前を覚えるきっかけになれば、嬉しい限りである。

では、まずはU-21ギリシャ代表からノミネート。パニオニオスに所属するレフティー。ディミトリオス・シオヴァスである。当世代のギリシャ代表は、各ポジションに面白いタレントが揃っているのだが、特にセンターバックは充実している。シオヴァスは昨季のリーグ戦出場試合数は1試合だったが、今季は準レギュラーに昇進。無骨なイメージの強いギリシャ代表センターバックのイメージを払拭させるほどのエレガントなプレイスタイルが魅力的で、フィード能力に長けているだけでなく、及第点以上のスピードをベースとしたカバーリングアクションも素早い。まだギリシャ国内でも無名ではあるが、ブックマーク必須の選手である。

そして、彼と中央でペアを組むのが、オリンピアコスに在籍するキリアコス・パパドプロスだ。こちらはまさに「ギリシャ代表」という肩書が似合う、肉弾戦に強いストッパータイプのセンターバックであり、あどけなさが残るその風貌からは想像がつかないハードなマーキングが特徴的。気持ちの入ったそのプレイは、競り合いで真価を発揮し、空陸両面で圧倒的なパワーを見せつける。特にU-19欧州選手権2007で見せた、イタリアやイングランドを封じ込めた鮮烈なパフォーマンスは衝撃的で、プレミアのビッグクラブを中心としたスカウト陣はスカウティングリストに◎を付けたことだろう。計算の速い方であれば、ここでハっと気が付いたかもしれないが、現在参加しているU-21代表には飛び級で選出されているのだ。無論、ギリシャリーグ最年少出場記録を樹立した彼には至極当たり前のことなのかもしれないが・・・。課題である足下の技術が向上をさせ、よりモダン化すれば、クラブでのレギュラー奪取のみならず、海外リーグ挑戦も時間の問題だろう。

続いては、彼らを擁するU-21ギリシャ代表と対戦したU-21ポルトガル代表から1選手を紹介したい。ミゲル・アンジェロ・レオナルド・ヴィトル。通称、ミゲル・ヴィトルである。ベンフィカでデビューした当初は、まだまだ「青さ」が目立ち、アヴェスへレンタルで放出されるなど、屈辱も味わったが、2008-2009シーズンからはルイゾンやダヴィド・ルイスが欠場した際の穴埋め役として重宝され、出場試合数も飛躍的に伸ばした。近年再び脚光を浴びつつあるリベロ型で、全盛期のリカルド・カルヴァーリョを彷彿させる、駆け引きの巧さとインターセプトの正確性でボールを奪取すると、すぐにポジティブ・トランジション(守備から攻撃への切り替え)に入り、パスを周囲に散らすだけでなく、時には自ら持ち上がってゴール前に侵入することもある。テクニックも攻撃的な選手顔負けの技術力を誇っており、迫力満点のトップスピードも非凡。やや力強さに欠ける点を除けば、その才能は怪物級といっても決して大げさではないはずだ。

今回は、3選手のみの紹介に止まったが、世界中にはまだまだメディアが取り上げることの少ない宝物が輝いている。個人的にもこの類の話は大好物であり、密かに目を付けていた選手(今季であれば、ウクライナのチグリンスキーなど)がビッグクラブに移籍した暁には、心の中で小さくガッツポーツしていたりする。

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