[J2第30節 水戸ホーリーホック 0-0 いわきFC、9月20日、福島・ハワイアンズスタジアムいわき]
水戸はいわきとの常磐線ダービーをスコアレスドローとし、5試合連続で勝ちなしとなった。
この日今季リーグ戦初先発となったFW粟飯原(あいはら)尚平は長所である空中戦の強さや左足のクロスで前線のアクセントとなったが、得点まであと一歩足りなかった。
J1初昇格に向けた残り8試合は総力戦となる。新たな可能性を示したレフティがラストピースとなる意欲を燃やした。
今季初先発のレフティが存在感
首位水戸はトンネルから抜け出せなかった…。
相手の激しいプレスと球際の強さに手を焼きながら、水戸はリーグ戦13得点のエースFW渡邉新太を中心に攻め立てるも枠内シュートゼロに。
それでも今季リーグ初先発の粟飯原は空中戦で強さを発揮。ボックス内では泥臭いポストプレー、外へ開けば左足から精度の高いクロスを展開して存在感を見せた。
「前半は特に相手の圧に屈してしまったじゃないですけど…。自分たちの戦うところ、球際は相手が勝っていたかなと思う。まずは基本のそういう部分で勝っていかないと、主導権は握られないと思う。自分たちの用意したプラン通りにはならなかった」と肩を落とした。
待望の今季J2初得点を奪えなかったが、これまで水戸に足りなかった前線での強さや激しさといった新たなオプションを粟飯原が提示した。
今年8月にJ3のFC岐阜から完全移籍で水戸へステップアップしたストライカーは、今季初先発までに1カ月の時を要した。
「水戸に入ってから、ずっとプレーするイメージができていました。葛藤というよりはいいイメージをつくること。試合を観ながら、自分が入ったときにどういうプレーをするかは、常にイメージしていました。きょうの試合は自分の特徴を出せたと思う。ただもう少しチームとして、自分のことをもっと理解してもらえるようにすれば、周りも生きると思う。そういうところは深めていける」と力強かった。
中に入れば力強い空中戦、外に開けば左足からの高精度クロスとあらゆる局面で違いを生みだせるからこそ自信を持っている。チーム悲願の初優勝に向けた重要なピースとなる準備はできている。
「ニューヒーローじゃないですけど、どんどん(自分が)出ていかないと、優勝はできないと思う。自分がそうやって担えるように、もっと試合を決定づけるプレー、ゴールに関わるところをしっかり見せていきたいと思います」と、かぶとの緒を締めた。
【インタビュー】元いわてグルージャ盛岡DFビスマルクの犯した罪と向き合った贖罪の8カ月、兄ジェファーソンとの絆
今季初先発した新加入のレフティが新たな可能性をチームに示した。チーム初のJ1昇格、J2初優勝に向けて粟飯原がラストピースとしてピッチで奮闘する。
(取材・文 宇田春一)
【Qolyインタビュー】リハビリ中に告げられたジェフユナイテッド千葉退団、FW佐久間太一がVONDS市原FCから目指すJFL参入「フクアリで対戦したい」