昨年12月18日、スイスのニヨンで、2009-10シーズンのUEFA CL、およびELの決勝トーナメント1回戦の組み合わせ抽選が行われた。来月16日からそれぞれノックアウトステージに突入し、大会がさらなる盛り上がりを迎えようかという一方、日本で言う春秋制でリーグ戦を行っている国のチャンピオンたちは、早くも2010-11シーズンのビッグステージへと思いを馳せている。
リーグ 優勝
アルメニア アルメニア・プレミアリーグ ピュニク・エレヴァン (9年連続12回目)
ベラルーシ ベラルーシ・プレミアリーグ BATEボリソフ (4年連続6回目)
エストニア メイストリリーガ レヴァディア・タリン (4年連続7回目)
フェロー諸島 ヴォーダフォン・デイルディン HB (3年ぶり20回目)
フィンランド ヴェイカウスリーガ HJKヘルシンキ (6年ぶり22回目)
アイスランド ウールヴァルスデイルド FH (2年連続5回目)
アイルランド プレミア・ディヴィジョン ボヘミアンズ (2年連続11回目)
カザフスタン プレミア・リーガ アクトベ (3年連続4回目)
ラトビア ヴィルスリーガ リエパヤス・メタルルグス (4年ぶり11回目)
リトアニア Aリーガ エクラナス (2年連続5回目)
ノルウェー ティッペリーガ ローゼンボリ (3年ぶり21回目)
ロシア ロシア・プレミアリーグ ルビン・カザン (2年連続2回目)
スウェーデン アルスヴェスカン AIKソルナ (11年ぶり11回目)
日本と同様の春秋制を採用している欧州の国は13。最近では、1991年にデンマークが、UEFAのスケジュールに合わせる形で秋春制へと“転出”。他にも秋春制への移行を検討している国は少なくないが、前述のデンマークやウクライナ、ルーマニアなどは冬季に3ヶ月近くの中断期間を設けており、リーグ運営面での難しさを伺わせる。
さて、「春秋制のホープ」と言えば、UEFAのリーグランキングで現在、フランスに次ぐ6位のロシアである。高額の報酬で有力選手を次々と獲得してきたこともあり、リーグのレベルが向上。2005年にCSKAモスクワ、2008年にはゼニトがUEFAカップを制し、今シーズンのCLでもルビン・カザンが「混戦のグループF」を演出した。また今冬には、日本代表の本田圭祐がCSKAモスクワへ移籍。日本人にとっても注目のリーグとなりつつある。(柏、徳島でプレーしたコートジボワール代表のドゥンビアも夏にCSKAモスクワへ加わることが決まっている)
2009シーズンのロシア・プレミアリーグは、ルビン・カザンが連覇を飾り、一昨年の優勝がフロックではなかったことを証明した。リーグMVPに選ばれた10番のドミンゲスは契約切れに伴いバレンシアへ移籍したが、クラブの運営資金は豊富。今シーズンのELでの上位進出、そして昨年果たせなかったCLのグループステージ突破を実現するため、オフには積極的な戦力補強が期待される。
ルビンと共にCL本選の出場権を獲得したのはスパルタク・モスクワ。元ロシア代表のカルピン暫定監督の下、得点王ヴェリトンと司令塔アレックスのホットラインを武器に2位でフィニッシュした。3位はそのスパルタク・モスクワから復帰したロシア代表ビストロフの活躍が目立ったゼニト。予備選3回戦から2年ぶりのCL本選出場を狙う。ちなみに、本田の所属するCSKAモスクワは5位。CLで優勝しない限り来シーズンはELがターゲットとなる。
ロシアに続くのがノルウェーだろう。2009シーズンは、ブラン、スターベクという伏兵が優勝してCL予備選での敗退に終わった過去2年とは異なり、ノルウェーの盟主ローゼンボリが圧倒的な強さでリーグを制覇。優勝時の勢いを予備選の行われる8月まで維持できるかという春秋制の国に共通の課題はあるものの、スウェーデン王者のAIKソルナから守護神エルルンドを引き抜くなどひとまず戦力アップを図っている。
その他、まずは本選出場が大目標となる勢力の中では、2008-09シーズンのCLでの奮闘が記憶に新しい、ベラルーシの雄、BATEボリソフが挙げられる。今シーズンのELでは惜しくもグループステージ3位に終わったが、ベンフィカ、エヴァートン、AEKアテネを相手に勝ち点7をあげ、欧州レベルでの競争力が健在であるところを見せた。2007年からチームを預かる、32歳の若き指揮官、ゴンチャレンコ監督の采配が再び大舞台で見られるであろうか。
今シーズンから予備選のシステムが変わり、各国王者が本選へ進みやすくなったCL。その恩恵を受けたクラブの中から、欧州でも実績のあるオリンピアコスがベスト16に進出したものの、マッカビ・ハイファ、チューリッヒ、APOELニコシア、デブレツェニはいずれもグループ最下位に終わった。しかも、これらはすべて秋春制のクラブ。春秋組にとって、CL本選は相変わらず遠い存在なのだ。とはいえ、その距離が縮まっていることもたしかである。2010-11シーズンこそは、“ブレイクスルー”を果たすクラブが現れることを期待したい。

2010-11シーズンのCL決勝の舞台は、聖地ウェンブリー。過去5度の決勝開催を誇るが、2007年に“ニュー・ウェンブリー”となってからは初の開催となる

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