今シーズンのチャンピオンズリーグに出場したマッカビ・ハイファ(以下マッカビ)。「ハイェルキム」、ヘブライ語で「緑色」の愛称を持つイスラエル王者は、ボルドー、バイエルン、ユベントスという結果的にハイレベルなグループリーグを戦い、6連敗。力の差をまざまざと見せ付けられた。ただ、0-3で落とした初戦のバイエルン戦以外のスコアはすべて0-1と、そこまで力が劣っていたわけではなく(決定力は絶望的になかったが)、イスラエル・プレミアリーグでは首位を快走。上位6チームによって行われるプレーオフに向けて視界は良好だ。
マッカビに次ぐ2位につけているのが、「赤い悪魔」ことハポエル・テル・アヴィヴ(以下ハポエル)。今シーズンのヨーロッパリーグで、ハンブルガーSV、セルティックらを抑えてグループリーグ1位となるなど、こちらもなかなかの実力。ヨーロッパリーグはベスト32で敗退したが、エースストライカーのシェフテルほか、ヴェルムート、ヤディン、ベン・ダヤンといったイスラエル代表組を中心に、リーグNo.1の攻撃力でマッカビを追いかけている。
ところで、この2チームのユニフォームを見ると、胸にHONDA、そしてSUBARUの文字。そう、両チームとも日本の自動車メーカーがスポンサーとなっているのだ。ホンダ(本田技研)は、Honda FCがJFLの“門番クラブ”として名を馳せるなどサッカー界との繋がりはそれなりに強いが、スバルについては「最近、中村俊輔がCMに出ているなぁ」という程度の印象しかなく、意外な感じである。ただこちらは、【スバルとサッカー】ではなく【スバルとイスラエル】として考えると分かりやすい。
アラブ連盟が1900年代なかばから始めた、イスラエル寄りとみなされる企業や個人をブラックリストに載せるボイコット制度。富裕層の多さに加え70年代のオイルショックもあり、中近東諸国との間に波風を立てたくない日本の各自動車メーカーがイスラエル進出を見合わせるなか、スバルは逆手を取ってイスラエルへ資本を集中。「我々を裏切らなかったメーカー」という評価を勝ち取った。(六連星のエンブレムがイスラエルのシンボルである六芒星<ダビデの星>を思わせ、それが人気に繋がったという噂も)
ただ、近年は得意のイスラエル市場でも苦戦を強いられており、てこ入れの1つとして昨年、国内最大都市の人気クラブであるハポエルのスポンサーになった――のではないかと思う。 いずれにせよ、現在では貴重な、日本企業が胸スポンサーを務める海外クラブ。欧州戦などで見かけたときは注目してみても良いかもしれない。
なお、タイトルのヘブライ語は、前が「マッカビ・ハイファ」、後ろが「ハポエル・テル・アヴィヴ」、だと思われる。