Qatar
2
1-1
1-1
2
Russia
アル・ハイドス
ヴラソフ(OG)
18'
70'
得点者
3'
52'
スモロフ
サペタ

ここまで2試合を連敗し、1得点8失点という散々な内容で終わっていたロシアが最後に意地を見せた。

決め手となったのは、なんと言っても第1節で大失敗したポゼッションサッカーを潔く封印したことである。無駄にショートパスを繋がず、前線のジャジュンに早めにボールを送って基点を作り、全体を押し上げてラッシュをかける形に戦術を組み替えていた。ジャジュンは体格が良いだけではなく、足元の技術も高いため、非常にボールが収まりやすい選手。彼をこういう形で使うことで、マークに雑さが目立つカタールに対して、比較的効果的な攻めを演出することが出来たのである。もちろん、カタールが決勝トーナメント進出を逃していたことから、運動量を必要とするフォアチェックがかなり甘くなっていたことも、ロシアの追い風となった。そしてキックオフから僅か3分、ジャジュンのポストプレーからスモロフのロングシュートが決まり、早くも先制点をあげることに成功した。

だが、ロシアにとって大きな足かせとなったのは守備であった。攻撃は改善することが出来たものの、最終ラインのミスの多さと、いざ中盤で繋がなければいけない時に相手にボールを渡してしまう技術不足は、メンバーを入れ替えない限りどうにもならない問題だった。ロシアは17人しか大会に帯同させていなかったため、全くオプションは存在しなかったのだ。そして18分には、アブドゥルファタハがボールをヤヒアに奪われたことが切っ掛けとなり、アル・ハイドスに得点を許して追いつかれてしまったのである。さらに後半に入ってまもなく、タッチライン際でムフタフと小競り合いを起こしたスモロフが手を出してしまい退場となってしまったのだ。

しかしロシアはこれでも崩れなかった。一人少なくなったものの、最初から人数をかけて攻めることを想定していない戦術であったため、それほど大きな痛手にならなかったのである。そして52分、その状況の中でサペタがムフタフをドリブルで抜き、右サイドの角度のないところから豪快なシュートを決めて再びリードを奪ったのである。根性を見せたロシアは70分に再びディフェンスがミスを犯してオウンゴールを献上してしまうも、これ以上の失点はなんとか防いでこの大会初の勝ち点を奪取。僅かでも将来への希望を感じる結果を手に入れた。

一方カタール目線から見れば、やや不完全燃焼の試合だったと言える。序盤は消極性が目立ち、終盤は高さ不足から引きこもる相手をサイドアタックで崩しきれず、2失点は引き続き守備の弱さを露呈した格好だ。とはいえ3試合を総合して考えれば、チリ、デンマーク、ロシアに対して戦術面では決して劣っておらず、「個人技頼みになりがち」というカタールの印象を完全に払拭したチームであった。このままコ・アドリアーンセが作り上げた基盤を大事に強化していけば、カタールという国全体が格段にレベルアップできるだろう。こちらも結果はグループリーグ敗退とはなったものの、大きな希望を感じさせた大会であった。

(※同時刻に行われたチリ対デンマークについては、明日に記事配信する予定です)


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