Saint-Etienne
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1
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0-1
1-0 |
1
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Marseille
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バトレス | 59' |
得点者
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32' | ジニャック |
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単独首位に立っているサンテティエンヌが強豪マルセイユをホームに迎えた試合は、お互いに激しく攻め合うスリリングな試合展開となり、最終的には1-1の引き分けで終了。痛み分けという結果となった。
サンテティエンヌの好調の要因は、手数をかけすぎずシンプルに速く侵攻するサイドアタック、中央のペラン、バトレスの攻守に渡る広い貢献を生かした飛び出しの積極性の2点。これに加えて、今日は対マルセイユを考え、「徹底してサイドの裏に選手を走らせてスペースを突く」という戦術を加えていた。そのため、いつもは左に配置されるパイェットが右に移り、攻撃意識が高いタイウォのサイドに狙いを定めた。そして、序盤こそやや相手にペースを握られたものの、徐々に攻撃の機能性を高めて17分、18分、22分と連続して決定的な場面を迎えるに至った。
ところが悪夢のような出来事が27分に訪れる。タイウォのグラウンダークロスをバイヤルがブロックすると、弾いたボールが何とレフェリーに直撃。さらにこぼれ球はフリーのルチョ・ゴンサレスへ渡り、ダイレクトで裏に出されたパスにジニャックが飛び出してきた。予想外の出来事に守備は全く対応できず、先制点を許してしまったのである。
この得点によってシステムを変えた相手に対し、それでも全く気落ちすることなく攻め続けた。攻撃の決め手となるポイントも、封じられ始めた右サイドからサコ、ボカネグラの左サイドに変更。飛び出しにシンプルなミドルパスを合わせて仕掛けていった。そして迎えた59分、ついに同点に追いつくことに成功する。コーナーキックからのこぼれ球を拾ったパイェットがすかさず裏にスルーパスを送ると、それにマトゥイディが飛び出してグラウンダークロスを入れる。それにバトレスが飛び込んでシュート、ゴールに押し込んだのである。
ただ、マルセイユも決して押されていたとも言い難かった。確かにサンテティエンヌの攻撃は凄まじかった。しかし先制まではタイウォとアユーの仕掛けを中心に攻めて十分にチャンスを作り出した。先制後もタイウォをパイェットのマークに付け、アユーは中に絞り他の選手と連携を作りシンプルにミドルシュートを狙うという戦略で十分にチャンスを作った。また同点に追いつかれた後、ジニャックがスピード不足のバイヤルを狙って執拗に仕掛けるなど、戦術的にも様々な試みを成功させていた。
しかしやはりチャンスの絶対的な数では劣っていた。また終盤にお互い攻め合う展開になってしまったことに対し、デシャンは嫌な流れだと感じていたはずである。74分にカボレ、90分にイウトンを入れるという守備的な采配をしたことからも分かるとおり、1失点で終わったのは奇跡に近かったといえる。マルセイユにとっては「負けなくて御の字」という試合であった。