2011年8月6日(土) - パルク・デ・プランス(パリ)
Paris Saint-Germain
0
0-1
0-0
1
Lorient


得点者
28'
ケルシャ


カタール系の投資会社に買収され、大きな資金投下が行われたパリ・サンジェルマン。今季の開幕を迎え、試合前には50億円近くの移籍金を投じて獲得したパストーレがパルク・デ・プランスに登場。大きな期待を持ちながらのスタートである。

しかし結果はロリアンに0-1と敗北。前半は相手の手の内で踊らされ、終盤の反撃でも空回り。今シーズンに不安を残す内容となってしまった。

プレシーズンマッチでも不安定さを露呈した守備。マテュイディとシャントームは役割分担が整わず、入ってくる選手を先に抑えられない。ボールを収められて速く回され、最終ラインが下がる。前線はオアローがターゲットマンとなってハイボールを落とすも、サポートの動きの乏しさから肝心なところでパスが回らない。敵陣に入ると個人技に頼らざるを得なくなる。

悪い試合運びの中で28分、セットプレーから失点を喫した。ジュフレの蹴ったフリーキックを、中央でぽっかりフリーになっていたモネ=パケがフリックオン。ファーに抜けたところにケルシャが入り込み、ネットが揺らされた。

その後ようやく向上が見られはじめた。ロリアンがリードしたことによって若干下がり、プレスの強度が落ちる。ネネーはタッチラインぎりぎりに開いて、中央を閉めたい相手の意図を利用した。ガメイロとオアローもマークされる頻度が減り、ボールが収まる確率が増加。

後半になるとさらに攻撃意識を高めた。前半はほとんど攻撃参加を行わなかったマテュイディが積極的に飛び出し、前線を追い越した。サポートの少なさはやや解消され、チャンスが増加。ジャレ、ティエネからも多くのクロスが放り込まれる。

だが、これが結果に結びつかなかった。再三仕掛けたサイド攻撃は、クロスがほとんど味方に合わず失敗。オアローを早い時間に下げたためターゲットを失い、ボールの狙い自体もガメイロへの合わせ方がはっきりしない。早めにオアローを下げてまで投入したボドメルもあまり機能せず、ターゲットにも縦のサポートにもならない中途半端なシャドーであった。

ネネーが孤軍奮闘し何度か惜しいシュートを放ったものの、オダールの好セーブにも阻まれ得点ならず。1点のビハインドを跳ね返せず、苦いシーズンのスタートとなった。

PSGが悪かった面もあるが、もちろんロリアンの戦略も見事であった。最終ラインが高く、コンパクトで組織的な守備。機動力に優れる2トップのモネ=パケとケルシャは、ちゃんと近い位置を保ちつつ中央、サイドに動き、精力的にボールを引き出す。そして単純に一発のカウンターではなく、PSGの中央の守備が弱いことを読んで少ないタッチで繋ぐことで攪乱。

自分たちの強みと相手の弱さを見極めた論理的なサッカーであった。クリスティアン・グルキュフ監督が数年がかりで構築したブレない組織と、スカウティングの勝利である。



(筆:Qoly編集部 K)

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