こんにちは。
この度、コラムを執筆させていただくことになりました。
基本的にタイムリーなものを書かせていただこうと思っています。
長い文字に起こす作業は経験が薄いため読みにくいと感じる方も多いと思いますが、最後までご一読いただければ幸いです。
【今シーズンのクラシコ】
「あらゆる創造活動はまず破壊活動から始まる」ーパブロ・ピカソ
エル・クラシコ。
100年以上続く歴史あるこの戦いは、レアル・マドリー前監督の言葉を借りれば「世界のサッカーを愛する者の時間が止まる」ほどの注目を集める一戦。
しかし、直近の3シーズンで行われた試合数は実に17(バルセロナ6勝・レアル・マドリー5勝・引き分け6)。
一部では、「飽きた」「マンネリ化した」という声も聞かれる。
だが、次戦はそうならない・思わせない試合になるはずだ。
今シーズンのバルセロナ、レアル・マドリーは昨シーズンまでとは異なる。
多くの方がご存じの通り、両チームは新監督を迎え入れ、バルセロナはメッシら主力の負担軽減を探り、レアル・マドリーはポゼッションサッカーへの移行という大きなテーマを持って、新しいチーム作りに着手している最中。
近年のクラシコを、グアルディオラが完成させたバルセロナのサッカーをモウリーニョ率いる白の軍団が「破壊する」という構図とするならば、今回は真逆。
両チームが新時代へ向けての「創造」の過程で迎える一戦だ。
このため、近年とは違う様相を呈する試合になると予想している。ここではクラシコで注目したい変化の点に触れる。
【バルセロナの攻撃の変化】
まずはホームチーム。
やはりバルセロナ最大の変化の特徴はネイマール。
移籍当初バルセロナのシステムに溶け込めるかどうか懐疑的な目で見られていたが、いざ出場してみると、リーグ戦で5アシストを記録するなど順調な滑り出しを見せた。
しかも、うちの3アシストはメッシに対するもの。
エースの負担を軽減するという課題をひとまずクリアしたと言っていいだろう。
また、今シーズンのバルセロナはセスクもゴール前でいい動きを見せており、6アシストを記録。彼もうち3アシストはメッシに対するものだ。
バレンシア戦ではメッシが前半だけでハットトリックを記録しているが、内訳はネイマールが1アシスト、セスクが2アシストと理想的なものだった。
左サイド、そして後方から中央のメッシに効果的な援護をすることで右サイドにもいい効果が生まれた。
昨シーズン29試合で8得点と苦しんでいたアレクシスは、6試合の出場ながら既に4得点を決め、おまけに2アシストと好調だ。
彼ら全員が出場するとは限らないが、バルセロナの新しい攻撃の形としてレアル・マドリーの脅威になることは間違いないだろう。
【レアルマドリーの攻撃の変化による守備のリスク】
続いてアウェイチーム。こちらはより複雑だ。
絶対的主力であったエジルを放出し、怪我で欠いたシャビ・アロンソの穴を新戦力で埋めながらポゼッションサッカーに移行しようとしている。
だが、当初アンチェロッティが目論んでいた4-4-2の並びが上手くいかず、補強の目玉であったベイルも調整不足と故障に苦しむなど、攻撃面では理想通りに変化が進んでいないよう見受けられる。
クリスティアーノ・ロナウド、ディ・マリア、そして新戦力のイスコらがなんとか引っ張ってこそいるが、リーグ戦での総得点は9試合で19、うち3得点はPKによるものと、得点力が前政権時より落ちているのは明らか。
しかし、新戦力カルバハルとマルセロ両SBの効果的な攻撃参加が新しいレアルマドリーの変化の象徴とも見受けられる。
好例は彼らの攻め上がりを中心に試合を支配した前節のマラガ戦。
カルバハルに限っては今チームで最多の116回というボールタッチを記録した。
とはいえ、攻めているだけでは勝てない、むしろ相手はバルセロナだ。
まだポゼッションでは敵わないだろうし、今シーズンは遂にカウンターというオプションまで身に付けた。
レアル・マドリーとしては、両SBが攻め上がったスペースをいかにケアするかがこれまで以上に重要になってくる。
被カウンター時に抜群のポジショニングと読みでパスコースを消すケディラが、中盤起用で度々広範囲のカバーを担ってきたペペが、あるいはリスクを考えた上でアルベロアが、どのようにそのスペースを守るのか。
新しく身に付けたスタイルをどう活かしていくのか、見逃せないところだ。
【歴史を線としても円としても】
ここまで両軍の目立った変化について触れてきた。
しかし全てが変化したわけでももちろんない。
バルセロナは高さに対する守備・CBの人材不足という課題は改善されておらず、レアル・マドリーは縦の速さ・セットプレーからの得点力というストロングポイントは健在だ。
昨シーズンの勝敗の分かれ目となった点は残っている。
この試合はアウェイチームにやや分があると言っていいだろう。
だが先述したように、この試合は変化が生み出す「創造」を表す一戦でもある。
近年とは異なる側面が見えてくるはずだ。
歴史は続くもの。
一本の線として捉えるか、歴史は廻るもの。
一個の円として捉えるか、何れにせよ、ターニングポイントは少なからず存在する。
次戦は破壊から新たな歴史が創造される、その転換点となることを、筆者は心待ちにしている。
【厳選Qoly】日本代表の2024年が終了…複数回招集されながら「出場ゼロ」だった5名