開幕まであと54日と迫った世界的な祭典、サッカー男子W杯。

興奮の1ヵ月間が、ついそこまで迫っている。現地時間19日には、いよいよ本大会のチケットが全世界へと配布され始め、歴史の証人となる幸運なサポーターは期待で胸を弾ませていたに違いない。

しかし、そんな世界的なイベントを前に、何やら怪しげなニュースが舞い込んできた。

なんでも、今大会では選手のドーピング検査に一定以上の時間がかかるようで、FIFAのメディカルチーフも大きな不安と不満を抱えているというのだ。英国『Independent』が伝えている。

ドーピング検査とは、主にスポーツ競技などで使用が禁止されている薬物の投与がなされていないかをチェックする検査である。W杯を主催するFIFAでも本大会期間中に選手に対してドーピング検査の実施を義務化している。

記事によれば、今大会では選手から採取した血液や尿はブラジルから一度スイスのローザンヌへと運ばれるようで、その結果が判明するまでかなりの時間を要するという。

FIFAのメディカルチーフ、ミカエル・ドーゲ氏はこのように語る。

「これまでのW杯では、そのチームの次の試合の開催日までにはドーピング結果が分かるようにしてきた。

だから、選手や運営側はただ待ってさえいれば、次の試合までにその検査結果を知ることができた。しかし…」

ドーゲ氏は今大会でドーピング結果の判明までにかなりの時間がかかることを明らかにしており、最悪の場合、ドーピング審査に引っかかった選手が次の試合に出場できる可能性すらあるというのだ。

ブラジルからスイスまでの距離はおよそ9000~10000km。これは、東京からトルコやウクライナといった東欧諸国までの距離に匹敵し、マナウスからローザンヌにいたっては、輸送に36時間がかかる可能性もあるという。それでは確かにドーピング結果が間に合わないわけだ。

ドーゲ氏は続ける。

「私はこのシステムを嫌っている。全く満足していない。

なんとかしなければならない。ベストを尽くすさ。しかし、これは弱点でもあるのだ。ブラジルで行われた最後の会議でも私はこのことを指摘したが…失望したよ」

FIFAは今大会、ドーピング検査の全過程に25万ドル(およそ2560万円)をかけて選手の審査を行う。世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の認定施設で公平かつ厳格に行われるそうだ。

開幕までに残された期間はそう多くはないが、果たして今大会のドーピング検査は無事終えることができるのだろうか。


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