なでしこジャパンが女子W杯を制して3年が経過した。日本人にとっては決して忘れることのできない栄光の記憶となったが、その新たな挑戦はもうそこにまで迫っている。

2015年6月からカナダで2015女子W杯が開催されるのだ。

この大会へはなでしこジャパンはすでに本大会への出場権を獲得している。世界王者として臨む初めてのW杯だが、日本が狙うは当然連覇である。現在行われているアジア大会はその貴重な実践の場であり、この経験が数ヵ月後のカナダに活かされるのだ。

そんなカナダで行われる予定の2015年女子W杯だが、ちょっとした心配事があるのをご存知だろうか? 実はこの大会が行われる6つのスタジアムのうち5つが人工芝のスタジアムであるというのだ。

人工芝を敬遠するサッカー選手は決して少なくない。 先日行われた2016年欧州選手権予選アンドラ対ウェールズ戦でもその酷すぎるピッチの様子が話題となっており、試合後ギャレス・ベイルもその芝について「史上最悪」とコメントしていた。

問題を複雑にしているのは、6つのスタジアムのうち5つが人工芝というその不公平性である。本大会の抽選会は今年12月に予定されているが、この抽選次第では初戦から決勝まで全ての試合を人工芝で行わなければいけなくなる。

この問題に対して声をあげているのが、女子アメリカ代表FWのアビー・ワンバックである。

人工芝でのプレーは身体に悪影響を与えるとの説もあり、身体への負担も疑問視されている。しかし、ワンバックはかねてより女子サッカーと男子サッカーの間で生まれるこういった格差について主張しており、英国『Guardian』の中でこう話している。

アビー・ワンバック(女子アメリカ代表)

「私たちは立ち上がり、しっかりとした態度を見せねばならない。そして言うのよ、『何のことだか分かってる?これは環境が十分じゃないわ。正しくもない。私たちは男子と平等に扱われるべきよ』とね」

ワンバックの抗議には、男子アメリカ代表デアンドレ・イェドリンやNBA選手コビー・ブライアント、俳優のトム・ハンクスらも支持を表明しているという。

日本でも徐々に市民権を獲得しつつある女子サッカー。しかし、未だ男子サッカーとの格差は大きい。こういった問題に関心を寄せることが、そのういった乖離を埋める一歩目となるだろう。

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