始まりはミッドウィークに行われたポルト戦での完敗である。アウェイとはいえ、誤解を恐れず言えば「格下」であるポルトに3失点を喫しての敗戦。
3失点ともミスから生まれたものであるが、ポルトのハイプレッシャーが奏功したのはいまさら言うまでもない。
Schlusspfiff! Das Hinspiel geht mit 3-1 an den FC Porto - aber es wartet noch ein Rückspiel in der
#AllianzArena... pic.twitter.com/xFhFoyaHUF
— FC Bayern München (@FCBayern)
2015, 4月 15
スポーツディレクターのザマーは試合後「ポルトのプレッシングに対する準備はしていたのだが…」と強がっていたが、それであの負けっぷりを見せられては誰も彼の言葉は信じられないだろう。
責められるべきは監督である。確かに怪我人の多さには同情するが、ビハインドになってからの無策さはもはや呆れるほかなかった。終盤に本職がCBであるボアテングを中盤の底に据えるが、そこでは世界屈指であるはずのCBが右往左往し、わずか3メートルの無意味なパスに終始していた。
そんなショッキングな敗戦から数日、驚きのニュースが目に飛び込む。
ペップがメディカルスタッフにポルト戦の負けの責任を押し付け、あろうことかスタッフ全員が辞任したのである。
Weil's nach
#FCPFCB Zoff gab, schmeißt Bayern-Doc Müller-Wohlfahrt (seit 1977 im Verein) hin! http://t.co/vb4fUmVrJO pic.twitter.com/nC936998cA
— BILD (@BILD)
2015, 4月 16
バイエルンのメディカルスタッフというのは非常に優秀なことで有名で知られる。
中でもクラブドクターのミュラー・ヴォールファールト氏は世界的な名医であり、あの世界一の短距離ランナー、ウサイン・ボルトも何度も治療のために彼の元へ訪れている。確かに今は怪我人続出で野戦病院化しているバイエルンだが、ロッベンを始めバイエルンの選手たちのメディカルスタッフへの信頼は厚い。何より、ミュラー・ヴォールファールト氏は1977年からバイエルンに勤めており、すなわち選手たちが生まれるよりもずっと前からバイエルンのために尽くしているのである。
それがどうだろう。来てから2年足らずの外様である監督にクラブは壊されているのではないか。バイエルンは元来ファミリー色の強いクラブである。ゼネラルマネージャーであるウリ・ヘーネスが脱税により逮捕されたときもクラブは彼とともに寄り添い続けると声明を出したほどだ。
バイエルンとの契約延長を拒否し、クラブに骨を埋める気などさらさらない監督と、40年近く勤め上げたスタッフどちらを優先するのか。バイエルンがバイエルンであるならば答えは明白である。そうでなくなったとき、後に待っているのは崩壊のみだ。まさしく終わりの始まりである。
筆者名:平松 凌
プロフィール:プロのフットボールライターを目指して、日々修行中。現在自分が何を書くのを得意としてるのか模索しています。自称国内屈指のバイエルンファンであり、話題に事欠かないチームに感謝してツイッターでは情報配信しています。
ツイッター:
@bayernista25
【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ