8月9日、東アジアカップを締めくくる地元中国との対戦が行われた。
国内組で形作られた日本代表はこれまで2試合で1分け1敗と結果が出ておらず、試合内容も煮え切らない。なんとか勝利を収めたいところだったが、そこから大きなブレイクスルーを見せることはできなかった。
試合開始当初、中国のシステムは3トップをかなり近づけたタイプの4-3-3だったものの、4分半ば辺りにウー・レイが指示を受けてサイドに移り、4-1-3-2に変化させた。
米倉のマークにウー・レイを入れるとともに、押し込むのではなく日本のサイドバックを引き出してスペースを作り、前に残った2トップが外のスペースと中に動いて起点を2ポイント作る形だ。そこにウー・レイが縦のギャップを作って入ってくる。
10分の失点についても、スローインからではあったがガオ・リンが起点になったところにウー・レイが入ってシュートが決まったという展開であった。
早い時間帯に失点を喫した日本代表は、中国にこのシステムで起点を作らせてしまうことが多く、うまく守れているとは言いがたい前半であった。
韓国戦で一つの問題となった、ブロックを形成して守る際に相手の最終ラインにプレッシャーがかからないという点についてもそれほど改善はされていなかった。それが致命的なものにならなかったのは、中国のサイドバックが数メートル高い位置に出てくること、そして多少余裕を与えても良いパスが出てこないという技術面に助けられたものだ。
その中で前半のうちに追いつけたのは幸運だったと言えるだろう。41分に槇野のスルーパスから米倉が裏に抜け出し、その折り返しを武藤がゴール。川又と永井がなかなか攻撃で機能しない中、速攻からうまく相手の隙を突いた。
後半には両チームの戦術に変化があった。日本はよりボールを繋ぐことを意識し、中国のあまり連動しないプレッシャーを利用してよりポゼッションを高めようとする。
その一方、中国は守備面の改善を狙って前線を一枚減らした。システムは完全に4-1-4-1となり、中国の攻撃には前半に見られたような怖さはなくなった。
しかし、その中で日本がペースを掴んだとも言いがたい内容であった。人数を揃えてしまった相手に対して前線の機能性が足りず、右で相手を引きつけるプレーがないので宇佐美のテクニックも全く発揮されない。
リスクをかけてハイプレッシャーで押し込むほどのスコアでもなかったこともあり、大会最後の45分もあまりゴール前に近づける場面を作れず、最終的には1-1の引き分けという結果となった。
北朝鮮戦ではハイボールへの反発力と引いてくる相手への打開力を欠き、韓国戦では守った際に相手の最終ラインにプレスをかけられる耐久力を欠き、中国戦でもそれらの改善については手つかずだった。
もちろん今回の大会に向けた準備期間の短さなどを考慮すればある程度仕方ない部分もなくはない。問題は次回のワールドカップ予選であり、そこで何らかの反発力を見せて欲しいところだ。