シリアの強みと弱み
この数年のシリア代表はかなり攻撃的な性格を持ったチームである。
優勢の状況になった際には最終ラインがかなり高く上がり、ボールを保持してペースを作る。守備には体格とテクニックを兼ね備えた選手が並び、前線へのボールの供給源として働く。
そして前線には個人能力が高い選手がバランス良く配置されている。得点力豊かなサンハリブ・マルキ、テクニックに優れるマフムード・アル・マワス、ドリブル突破に長けるウダイ・アル・ジャーファル、2002年から代表にいるベテランFWラジャ・ラフェ、そして新鋭アタッカーのオマール・ハリビン。
彼らが時と場合によって4~5人配置され、強烈な破壊力を持つ攻撃陣を構成する。ワーイル・アヤン(今回呼ばれず)やブルハン・サヒーウニもその一員ではあるが、彼らからは一つ序列は落ちる。
形で言えば4-1-3-2になるか、あるいは4-4-2になるかであるが、おそらく日本を相手にする場合には後者を選択する可能性が高いのではないかと思われる。
綺麗に前線にボールが入り、スピードを残したままフィニッシュに持ち込ませれば、彼らの決定力は高い。まさに『獲るべき時に獲れる』選手達だ。
ただ、一方でこのチームには弱点も目立つ。そのために試合中の浮き沈みも大きい。
攻撃面では、ラインを上げてポゼッション思考で攻めようとする反面、そのパス自体の信頼性が今一つであること。
センターバックを務めるアハマド・アル・サリーフ、ハムディ・アル・マスリー、オマール・ミダニ(ボランチ兼任)らは、体格とテクニックを兼ね備えているものの、俊敏ではなく裏には強くない。
前線が激しくプレッシャーをかけるというわけでもないため、カウンターでスペースを狙われると不安定さを感じることも。23歳のGKイブラヒム・アルマーに助けられている部分も大きいと言える。
彼らと対戦することを考えれば、『勢いに乗らせず、先制点を与えない』 『相手を前に引き出して速攻を有効に使う』ことは確実に必要になるだろう。
最初から引きこもられた場合には……かなり厳しい戦いになることは覚悟しなければならないかもしれない。高さとフィジカル、そしてカウンターの3つだけで戦わせれば、シリアはかなりのレベルがある。