12月1日に第21回日本 フットボールリーグ(JFL)の全日程が終了した。今年のJFLはピッチ内外で様々な話題を提供してくれた。

元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治が日本代表経験豊富なDF駒野友一やMF橋本英郎らを大型補強し、“JFL版・銀河系軍団”を結成。

ポルトガルの名将ジョゼ・モウリーニョ(現トッテナム・ホットスパー監督/イングランド)が主催する指導者養成講座に日本人で初めて合格して話題を集めた“新世代コーチ”林舞輝氏を23歳でGMに抜擢し、新体制で「学びの型」を通した前衛的なクラブ作りに取り組むことを宣言した奈良クラブ。

企業チームの形態を採りながらも元日本代表のDF茂庭照幸など実績のあるJリーガーを多く補強するFCマルヤス岡崎など、特徴を持つクラブが増えた。

史上初の4連覇を達成したHonda FCは、JFLだけでなく、天皇杯でもJ1・北海道コンサドーレ札幌、J2・徳島ヴォルティス、J1・浦和レッズとJクラブ3チームを下してのベスト8進出を果たすなど、ピッチ内で存在を示し続けた。

今治はリーグ最少失点を記録する“現実路線”に切り替えつつも、目標であったJ3昇格を達成した。

そんな中、Jリーグを含めた日本の男子サッカー全国リーグ史上初の女性監督となったスペイン人、ミラグロス・マルティネス監督の就任で話題を集めた鈴鹿アンリミテッドFCは初昇格ながら3試合を残してJFL残留を決め、12位でフィニッシュ。

FWエフライン・リンタロウは得点王に輝き、ベストイレブンにも選出。ミラ監督の続投も発表されている。

(取材・文・写真/新垣 博之、写真提供:鈴鹿アンリミテッドFC)

暗中模索のスタートも、確かな手腕の片鱗

※右からミラ監督、小澤哲也通訳兼アシスタントコーチ、ラファエルフィジカルコーチ。

「史上初の女性監督」で注目を集めたミラ監督だったが、鈴鹿での指導は暗中模索のスタートだったかもしれない。

就任が発表されて間もない、1月14日に来日。同月22日にはチームのプレシーズンが指導したが、その頃はまだ専任の通訳がいなかった。また、コーチングスタッフの数も不足していた。

そこから2月5日に、スペイン5部で選手としてのプレー経験も持つ現・通訳兼アシスタントコーチの小澤哲也氏の就任が決定。2月末にはJリーグでも有名な「岡山劇場」で鳴らしたムードメイカー・岡山一成氏のコーチ兼フィジカルコーチとしての就任が発表された。

また、今季のチームで最も個の能力が高いFW遠藤純輝などもこの時期に加入が決まった。チームの指導日からは1カ月以上が経過し、開幕まで3週間と迫った時期に、やっと今季のチーム編成が固まった。