3日、U-23日本代表の大岩剛監督は今夏フランスで開催されるパリ五輪に臨む最終メンバー18名とバックアップメンバー4名を発表した。

メンバーは全員が予選を経験した選手であり、誰一人として驚かされる名前はなかった。ただそれはあくまで選ばれた18名の話であり、落選したメンバーについての衝撃度は大きかったかもしれない。

最初に驚かされたのはGK鈴木彩艶(シント=トロイデン)の選外だ。

A代表のアジアカップで守護神を務めた鈴木はU23アジアカップこそ出場しなかったものの、パリ五輪への招集は固いかと思われた。しかし大岩監督の口から発せられた名前は、U23アジアカップで大活躍した小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)と野澤大志ブランドン(FC東京)ーー。

鈴木は先日からセリエA・パルマへの移籍が取り沙汰されており、それが影響した可能性もある。

また、今回のパリ五輪では1クラブからの招集は最大2名までと事前に決まっていた。そのため、FC東京に所属する野澤大志ブランドンの名前が出たということは、同僚である荒木遼太郎、松木玖生のどちらかが外れることを意味した。

上記2名の選出を固いと思っていた筆者は動揺し、すぐに外れるのは荒木遼太郎なのかと考えた。

荒木はU23アジアカップでジョーカー的に活躍したが、それまではクラブでの不調もあってあまり呼ばれていなかった。松木はU23アジアカップで副キャプテンを務めたこの世代のホープであり、輝けるポジションが限定される荒木に比べ、短期決戦に求められる「中盤ならどこでも可能な選手」だったからだ。

しかし名前を呼ばれなかったのは松木だった。

この衝撃のサプライズは、鈴木彩艶の移籍に端を発した野澤大志ブランドンの選出とその余波(招集制限)なのか。大岩監督は「コンディションに問題があるわけではない」と話すにとどめたが、山本昌邦ナショナルチームダイレクターは「移籍の可能性があり、招集の確約ができなかった」と補足した。

そして最後の衝撃は、バックアップメンバーには含まれているものの18名からは漏れた山田楓喜(東京ヴェルディ)だろう。

山田はこのパリ五輪世代の代表チームに継続的に選ばれており、U23アジアカップでも準々決勝の開催国カタール戦で貴重な先制弾を決めると、決勝のウズベキスタン戦でも日本を優勝に導く決勝ゴールを決めた。

波のある選手で一貫性に欠ける面があり、また同じ右サイドのポジションには久保建英が控える。筆者はU-23アジアカップ直後も山田の選出を必ずしも安泰ではないと感じていたが、それでも彼の左足はこのチームで唯一無二の武器であり、久保の選外が濃厚となる中での選出は固いと考えた。だが……。

ケガで6月のアメリカ遠征に参加できなかったこと、その遠征で三戸舜介(スパルタ)がアピールに成功したことがこの落選に影響したのだろうか。

パリ五輪に出られない「23歳以下の超スーパースター」たち

日本は1996年のアトランタ五輪から8大会連続で出場しているが、五輪はワールドカップに比べると招集のサプライズが少なく、個人的には落選でこれほど驚かされた記憶がない。

それはもしかすると、日本人選手の早い段階でのヨーロッパ移籍が当たり前の時代になったことにより引き起こされた新たな現象なのかもしれない。

【招集外となった主なメンバー】

久保建英
鈴木唯人
鈴木彩艶
チェイス・アンリ
内野貴史
バングーナガンデ佳史扶
松木玖生
田中聡
松村優太
内野航太郎

(Qoly編集部:佐伯洋)

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