Qolyアンバサダーのコラムニスト、J1全部見るマンによるレポートをお届けします。

攻守において、復調の兆しがあるコンサドーレ。今回は「守備」の変化について触れてみますので一読いただけると幸いです!

マンツーマンの変化と調整

オールコートマンツーマン。ただひたすらに相手のプレー時間とスペースを消し続けることでミスを誘発してショートカウンターを発動させるコンサドーレ。

守備の局面でも苦しんでいたのは事実です。しかし、彼らはマンツーマンを行っていく上で、調整もしくは変化を加えていくことでその守備も再機能させることに成功しました。

ではどのような変化もしくは進化をしたのかを考えていきましょう。

なぜ守備が機能しなかったのか?

まずここから触れていこうと思います。

守備が機能しなかった理由として『足並み揃わず』がポイントになると思います。この足並みが揃わない状況でプレスを行なってしまうと、『組織プレス』ではなく『個人プレス』になってしまいます。

誰がどのタイミングでプレスを開始するのか、ここがはっきりしていなかったので、遅れが生じて1つず突きけられてつ剥がされてしまうことが多くありました。マンツーマンでプレスを行う上で、そのスイッチを入れる「口火役の不在」もプレスがはまらなかった大きな要因だと思います。

さらに敵の陣形を考慮せずに、担当マーカーの対応を行うことも不調に陥ったことに起因していると思われます。可変やポジションチェンジを繰り返すことも多くなった現代サッカー。とはいえ、やはりスタート時の並びを無視できるものでは到底ありません。

この陣形とその変化の考慮を省いてプレッシング、守備を行うことが多かったのがコンサドーレです。だから担当のマーカーがポジションを変えたり、移動するとそこに確実についていきます。この時にできるスペースやズレも考慮してなかったのが苦しんだ原因だったと思います。

またこれに付随して、ポジションチェンジを行われたときの背走も苦しんでしまう要因でした。例えばWGの選手やCFの選手がボールを引き出すために列を落として出口を作った際についていくのがCBになってきます。ここでCBがついていくと最終ラインに段差が発生することは至極当然のことです。そしてこのできた段差とスペースに走り込むのが例えばIHやOMFだとするならば、そのマーカーはCHになります。1発で背後を使われてしまうと、CHは自分の上をボールが通過するので背走しながらの対応を強いられてしまいます。このような状況が各レーンで突き付けられてしまい、コンサドーレの守備は崩壊してしまっていました。

ではどのような変化や調整を加えたのかを考えていきます!

変化と調整

上記のような守備の機能不全。ここから機能させるために最初に着手したのがマンツーマンの担当とそのプレスの微調整です。陣形に合わせながらプレス担当とその掛け方が上手になりました。ではまずは以下の場合をご覧ください。

対戦相手が4-4-2だった場合、CB に対してCFと片方のSTが対応を行います。CBに出なかったSTはCHの担当を行います。ここも明確になったことからプレスが始まり、いわゆるプレスの口火役がはっきりした印象を受けます。当然ですが、余るCHにはCHが前に出て対応を行なっていきます。さらにSBの担当はWBが行うのですが、この時のプレスの掛け方にも変化が見られます。それが背後を気にしながら、詳細にいうとSHを気にしながらプレスを行うことです。

これを行なっていくことにより、SHを担当するCBの立ち位置が内側になっています。最初からSHの近くに立っていたころと違って3CBの距離を保つことができているので、簡単に門が割れて背後を取られてしまう回数が激減しました。だからこそ、2トップ+SHを3CB+余るCHで対応を行えるようになっています。

次に対戦相手が4-3-3の場合を見ていきましょう。

まずズレが起きてしまうアンカー。ここにはCFが対応することが明確になりました。今までは2CBとDMFには「3トップの誰かが」対応という形だったのですが、それが「CFが対応する」に変化しています。

これを明確にしたことによってCBにはSTが外切りでプレスを行うことが多くなり、プレスのスイッチとなっていきます。さらにIHにはCHがマークを行います。当然SBにはWBが出るのですが、ここでもWBは自分の背後に立つWGの選手を背中で隠しながらプレスに出ます。メリットとしてWGに対してボールが届くまでの時間を稼がせることが可能になります。その時間だけ、CBがWGに対応に入れる時間を得ることができます。この対応こそがCBがWGと駆け引きを行える時間であり、この時間があるほど優位に1vs1に入ることが可能になっていきます。ここもコンサドーレが変化した部分だと思います。

まとめると、相手の陣形に合わせてのマーカーの担当の明確化、そしてプレス時の隠し方に変化が見られます。

加え、マークの受け渡しも行うようになっていきます。特に大崎選手と馬場選手、岡村選手の受け渡しが多くなっています。これが最終ラインの段差ができてしまうことを防ぐことになっています。そして受け渡しをしたことによって、背走する回数と背後にボールを送られる回数も減った印象を受けます。列を跨いで出口を作ろうとする選手に対して、岡村選手が大崎選手に指示を行いながらプレーをしているところをよく見受けられることができるようになっています。

だからこそプレスの足並みが揃ってマンツーマンを押し出すことに成功しています。時間とスペースを奪い続けることによるオールコートのマンツーマン。攻撃、トランジション、守備の循環がスムーズに行えるようになった今、北海道コンサドーレ札幌の大逆転での残留を見られるかもしれません。

Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|
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