日本人選手やリオネル・メッシがプレーするアメリカのMLSには、昇格・降格システムがない。
かつて、MLSでプレーしたズラタン・イブラヒモヴィッチは「(MLSのプレーオフ)システムはクソ。全ての試合が重要であるべきだ。だが、ここでは7位でもプレーオフに行ける。どうやってメンタリティが形成されるのか。このシステムでは難しい」と言い放ったこともある。
そのMLSの国際部やアジア担当として働いた経験を持つ中村武彦氏が『PIVOT』のYouTubeチャンネルに出演。同氏は、FCバルセロナの国際部門にもいたことがある人物だ。
MLSはリーグ自体が株式会社という特異性があるとしつつ、昇降格がない理由についてこう述べていた。
「もともとアメリカのスポーツは昇降格がなくて、クローズドリーグって言われている。おそらく北米以外は全部オープンリーグ。オープンリーグっていうのは、勝ち上がれば昇格して負ければ降格する。
なので、自分がチームを作って勝ち続ければ上がれるんですよ。でも、バスケもアメフトもホッケーも野球もサッカーも全部クローズドなので、アメリカは。
それはなぜかと言うと、投資をちゃんと…お金を集めたいんですね。
でも、お金を集める時に負けたらチームの価値が減っちゃいますとか、高い選手を買っても怪我したら活躍できませんとか、スポーツ独特のボラティリティ(≒価値変動)があると投資しにくいんですよね、コントロールができないので。
どうボラティリティをコントロールするかっていう原理原則として、アメリカのプロスポーツのどこのリーグも特徴(昇格・降格なしのクローズドリーグ)としてはありますね」
投資対象としての価値を維持するための施策とのこと。
また、かつてアメリカには北米サッカーリーグ(NASL)があり、ペレやフランツ・ベッケンバウアーらスター選手がニューヨーク・コスモスというチームでプレーした。
だが、MLSのようにリーグが統括するようなシステムではなく、コスモス一強となってしまったこともあり、1984年にリーグ自体が消滅。そのトラウマ的な経験もあり、MLSは護送船団方式になったとも中村氏は話していた。