[第103回全国高校サッカー選手権、準決勝、流通経済大学付属柏高(千葉県代表)1-0東海大学付属相模高(神奈川県代表)、11日、東京・国立競技場]

準決勝が11日に国立競技場で行われ、流経大柏高は前半42分に決めたペナルティキックを守り切り、東海大相模高を1-0で破って6大会ぶりの決勝進出を決めた。

2007年度大会以来の優勝を目指す赤のシャツの流経大柏高は、J1湘南ベルマーレ内定のFW松本果成(かなる、3年-上州FC高崎)を右サイドバックで起用。今大会は体調不良に悩まされた背番号12は、初の先発フル出場でチームの勝利に貢献した。群馬県出身の松本は地元高である前橋育英高との大一番を前に「叩き潰すくらいの気持ちでやりたい」と17大会ぶりの王座奪還に向けて決意を口にした。

右サイドバックで上下動を繰り返したFW松本果成

前橋育英高の優勝を観て育った赤の戦士

群馬県高崎市出身の松本は「地元の前橋育英は小さいころからずっと観てきた高校です」と、幼少期からタイガーイレブンのサッカーを観て育った。

2017年度大会の選手権決勝では流経大柏高を下し、初優勝をつかみ取った前橋育英高。奇しくも当時と同じカードになった決勝ついて「あのときの借りを返す」、「叩き潰すくらいの気持ちでやりたい」と地元高との対戦に背番号12は意気込んだ。

選手権に出場するため県外へ飛び出し、ここまで厳しい練習を積んできた。流経大柏高とはライバル関係を築いている千葉県の市立船橋高からも声がかかっていたが、伝統ある赤色のシャツに袖を通した理由を明かした。

「全国(大会)に出るなら流経だと思った。直感的な話ですけど、自分が(流経大柏高への進学を)決めた理由はそこ。前橋育英を選ばずに流経へ来た立場ですし、流経のために全力を尽くします」

決勝点を決めた流経大柏高MF柚木創(ゆのき・そう、3年-tfaジュニアユース)

選手権の直前にはインフルエンザを発症し、この日が本大会初先発となった。大会期間中はなかなか上がり切らないコンディションにもどかしさを感じていたが、国立の舞台に照準を合わせてきた。

松本は右サイドバックで出場すると攻守に奮闘。体調不良だったと感じさせないサイドを往復する運動量を披露し、東海大相模高に自由を与えなかった。

流経大柏高の榎本雅大監督は「本人と話をして気合いが入っていたので、期するものがあると思い起用を決めました」と、急きょ準決勝の前日練習で背番号12のスタメン抜てきを決断した。

榎本雅大監督(左)

松本は「監督さんは練習から『コンディションはどうだ』と声をかけてくれていました。監督さんから話しかけてくださることが多くて、自分のことを気にしてくださっていると分かっていました。コンディションを上げて監督に起用してもらえてうれしいです。自分たちはしっかりと勝ち切るだけだと思っているので、コンディションをしっかりと整えて決勝を迎えられるようにしたいです」とここから本領発揮だ。

高校サッカー屈指の強豪校、流通経済大柏が輩出した「最強の5人」

高校日本一を前に背番号12の心は真っ赤に燃えている。群馬県出身の松本を筆頭に赤きイレブンが前橋育英を打倒し、7大会ぶりの雪辱を果たす。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 Ryo)

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