Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊氏によるコラムをお届けします。

フレックスプライス制度から見るJ1各クラブの人気設定

東京ヴェルディは2024年シーズンより、フレックスプライス制度として対戦相手の人気度合いによって四段階にチケット価格を設定している。公式発表としては「対戦相手や時期等に応じて価格を変動させる」というもの。

この制度は他の多くのクラブで導入されているダイナミックプライシング制度とは異なり、売れ行き・チケット残数によってチケット価格が日々変動する制度ではなく、「このクラブとの対戦時は多くの来場者が見込めるので高く設定しよう」「このクラブとの対戦時はあまり来場者見込めないので安く設定しよう」と、ヴェルディのフロント側が試合前に予めチケット価格を設定するものである。

設定後は価格変動しないことがダイナミックプライシング制度との大きな違いだ。

この制度、古くは2000年代にFC東京が二段階の価格設定で導入。その後もヴィッセル神戸、近年ではモンテディオ山形、そしてサンフレッチェ広島とジュビロ磐田も導入している。

その中で、価格を四段階にまで細かくカテゴリ分けしているのはヴェルディのみのため、ヴェルディフロント側による人気設定に着目した。

アウェーサポーター向けの席である、バックBビジター指定1階席と(バックスタンド)、ビジター指定席1階席(アウェーゴール裏)の2つの価格を元に、考察したい。

人気クラブと見込まれた☆4設定の場合、バックスタンド6,100円と高額な一方、☆1の不人気設定だと3,100円と倍近くの価格差が設定されている。

どのクラブがどのカテゴリに入っているのか。

以下、カテゴリ分けとチケット価格、そして実際の入場者数をまとめた。


☆:1クラブ(最安値)

アウェーゴール裏2,700円、バック3,100円

京都:10,060人(平日開催)

最安設定の☆1クラブは、平日開催の京都サンガF.C.のみ。

つまり、ヴェルディのフロントとして☆1値段設定はイレギュラーなもので基本は☆2以上の価格設定を念頭においていることが窺える。

しかし、この最安価格にもかかわらず、平日開催かつ関西クラブの対戦ともあって入場者数はシーズン最低の10,060人。事前のカテゴリ設定の読みとしては正しい。


☆☆:9クラブ

アウェーゴール裏3,200円、バック4,100円

広島:11,243人(平日開催)
G大阪:13,445人(平日開催)
柏:13,606人
福岡:15,459人
新潟:17,055人
鳥栖:18,992人
湘南:19,010人
名古屋:20,105人
町田:22,480人

京都と同じく関西クラブかつ平日開催という条件だが、サンフレッチェ広島とガンバ大阪は☆2カテゴリ設定に。

自分は広島戦を現地観戦したが豪雨と雷の影響で1時間以上の中断になるほどの悪天候だったため、これも事前のカテゴリ設定の読みとしては正しかったと言える。

この☆2設定で最多動員数となったのは22,480人を記録したFC町田ゼルビア戦。これについては、まさか町田が2024年シーズンに優勝争いをするほど台風の目になるとは開幕前に思っていなかったため、☆2設定にしてしまったのだと推測。

関東クラブでアウェー来場者数も見込めることからおそらく2025年シーズンは☆3設定になると思料する。


☆☆☆:5クラブ

アウェーゴール裏3,700円、バック5,100円

C大阪:16,265人
札幌:16,301人
磐田:18,959人
神戸:21,709人
鹿島:24,814人

高価格設定の☆3は5クラブ。

ただ、セレッソ大阪、北海道コンサドーレ札幌、ジュビロ磐田に関しては☆2設定のサガン鳥栖、湘南ベルマーレ、名古屋グランパス、町田よりも来場者数が少ない。

この逆転現象を踏まえて2025年シーズンは☆2と☆3カテゴリクラブの入れ替えが行われると思料する。


☆☆☆☆:4クラブ(最高値)

アウェーゴール裏4,200円、バック6,100円

川崎:26,387人
浦和:27,886人
FC東京:31,746人
横浜FM:53,026人(国立開催)

ヴェルディのフロントから人気クラブという位置づけで設定されたカテゴリが、この4クラブ。いずれも関東のクラブで動員力もあり、事実いずれも25,000人を超える来場者数を記録しているので納得の4クラブだ。

とはいえこの価格はかなり高め。自分は横浜FM戦を現地観戦したが、高いなと思ったし、クラブからのメールで1,500円引きのクーポンが配布されたことで購入の後押しとなったが、定価ならば二の足を踏む人は多かったと思われる。

おそらく来季もこの4クラブは高価格設定だろう。なにせこの価格にもかかわらず実際に観客が入るのだから。

以上、ヴェルディのフレックスプライス制度から見るJ1各クラブの人気設定であり、こうしてまとめて見ると不可解な設定はさほどなかった。

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なお、自分は昨シーズン、ヴェルディのホームゲームは横浜FM戦(☆4)、C大阪戦(☆3)、広島戦(☆2)、鹿島戦(☆3)の4試合を現地観戦。

一番満足度が高く、興奮したのは開幕戦かつ最高値の横浜FM戦だった。

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