ワールドカップ最終予選で日本と同グループを戦っている中国。その未来を担う若手選手が、スペイン合宿中の試合で重傷を負い、脳死と判定されたことで騒動が巻き起こっている。
『香港01』が中国本土の報道として伝えたところによると、中国の世代別代表にも選ばれてきた18歳DF郭嘉璇がスペインでの合宿中に行われた親善試合で頭部に深刻な負傷を負い、昏睡状態に陥っている。現地の病院では、脳死と判定されたという。
郭嘉璇の兄がSNSに投稿し、助けを求めたことで大きな反響を呼んでいる今回の事件。彼によれば「弟は果敢にスライディングタックルをした際、相手選手の膝が頭部に直撃し、その場で昏倒した」とのこと。
北京サッカー協会は12日に今回の事態を認め、「これは通常のプレー中に起きた事故」と説明。協会は「彼の治療を全力で支援している」と強調したものの、中国への移送や補償の問題、保険に関する具体的な説明は避けたそう。
2006年に生まれた郭嘉璇は、中国の強豪・北京国安に所属する逸材。2023年6月にはバイエルン・ミュンヘンの「ワールド・スクワッド」に唯一の中国人選手として選出されている。今回、彼は北京サッカー協会の手配で選抜チームの一員としてスペインで合宿を行っていた。
今のところ、北京サッカー協会や北京国安が当初家族に約束していた補償は実現しておらず。郭嘉璇の兄は「試合中の重大な事故に対する適切な補償がないなら、誰が中国サッカーを続けようと思うのか?」と強い不満を示している模様。
さらには、北京サッカー協会が今回、選手のための十分なスポーツ保険を用意せず、一般的な旅行保険で代用していたという暴露話も。この点についてメディアが北京サッカー協会に確認すると、「それは憶測にすぎない」と回答。しかし、「選手全員に適用されるスポーツ保険があったのか?」という質問には、明確な回答を避けたとか。
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対戦相手のスペインチームがSNSに投稿した回復を願うメッセージが削除されるなど、関係者には厳しい口止め命令が出ているという。中国国内にとどまらない話でもあるため今後の行方が注目される。