8大会連続でワールドカップ出場を決めた日本代表。
アジア最終予選で同じグループを戦っているインドネシアは、帰化選手によるチーム強化を進めてきた。旧宗主国であるオランダ系の選手を多く帰化させ、ついにスタメン11人中10人が帰化系という状態になっている。
同じ東南アジア諸国にも帰化選手たちがいる。
ベトナムは元Jリーガーでもあるブラジル人のラファエルソンを帰化させると、グエン・スアン・ソンと改名した27歳のストライカーは「東南アジアのワールドカップ」ともいわれるASEAN三菱電機カップで7ゴールと大会得点王になる圧倒的な活躍を見せた。
ベトナムはW杯二次予選で敗退しているが、帰化戦略推進には慎重論があるようだ。『Bao Phap Luat TP』はこう伝えている。
「ASEAN三菱電機カップでは多くの帰化選手を擁したマレーシアが惨敗した。
グエン・スアン・ソンのような特別な選手を除いて、帰化した外国人選手は国内選手より優れているわけではない。
インドネシアのように優秀な外国人選手を帰化させたとしても、必ずしも有利になるわけではない。インドネシアが推進しているプロジェクトは多額の資金を費やしているという事実に加え、その質も不確かである。外国人選手の帰化を招聘するための資金は非常に大きく、極めて高額だ。
東南アジアチームが経験してきたような外的な力(帰化)を待ってもうまくはいかない。
日本と韓国から学ぶべき点がある。
最近、キム・サンシク監督がベトナム代表の強化のために、より多くの帰化選手を獲得したいと考えているという情報が流れている。
これは慎重に検討すべき視点だ。東南アジア全般、特にベトナムに来た外国人監督も同様のことを試みてきたが、いずれも成果を上げていない。帰化はベトナムサッカー界の指導者にとって慎重に検討されるべき問題だ。
グエン・スアン・ソンは『貴重な宝』だが、彼だけが優秀で残りは質が非常に低い。なぜなら、優秀なら自国の代表チームに貢献することになるからだ。
ブラジル出身のグエン・スアン・ソンについては、誰もがベトナムサッカー界の『ブラックダイヤモンド』であることを理解しているが、彼がブラジル代表のユニフォームを着る機会を得るのは難しい。
アジア最強の二大チームである日本と韓国を見れば明らかなことがある。
彼らは自らの力、持続力、そして科学的で計画的なトレーニングによって成長してきた。
日本代表(ユースチームを含む)には、時折、欧州系の選手が混じっているが、ほとんどは長続きしない。かつて日本代表にはサントス(三都主アレサンドロ)がいたが、今では全員が自国選手だ。
韓国代表も同様で帰化選手は一人もいない。日本と韓国は、東南アジアサッカーが学ぶべき教訓だ。『帰化のために大金を費やしたり』『その場しのぎ』はしない。いい結果が出ていない、あるいはまだ出ていないのに、費用がかかりすぎる。(そうなれば)長期的には国内育成の質が低下するだろう」
帰化選手は短期的な強化にはなりうるが、コストがかかる割には質に懸念もあり、長期的に見ると国内の育成がおろそかになりうると危惧しているようだ。
なお、日本代表として2002年と2006年W杯に出場した三都主はブラジル出身選手。明徳義塾高校への留学で来日するとJリーグで活躍し、その後、日本に帰化した。