2034年のFIFAワールドカップに向け、11個の新たなスタジアム建設計画を進めるサウジアラビア。

これらの建設計画は、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長やアメリカのドナルド・トランプ大統領がサウジアラビアを訪れた直後に発表され、国内外から大きな注目を集めている。

しかしながら、国際人権NGO『ヒューマンライツウォッチ』は14日、華々しいこれらの計画の陰に、スタジアム建設に携わる移民労働者たちに対する深刻な人権侵害が行われていると発表した。

同団体によると、サウジアラビア政府は現在、W杯に向けたスタジアム建設工事を加速させている。その中で、転落死や感電死、斬首、圧死などの労働災害が発生している。

遺族によると、サウジアラビアに拠点を置く雇用主や当局は、親族の死亡状況に関する情報をほとんど提供していない。加えて、一部の雇用主は本国送還費用の負担を拒否し、中にはサウジアラビアで親族を埋葬するよう圧力をかけている。

同団体で中東地域を担当するマイケル・ペイジ氏は「サウジアラビア当局が移民労働者の基本的な安全と社会保障を適切に確保できていないことを踏まえると、サウジアラビア国内企業と国際企業は、サウジアラビアでの事業活動において深刻な人権侵害が生じないよう、より大きな責任を負っている」とサウジアラビア政府に警鐘を鳴らした。

その上でFIFAに対しては、「ワールドカップ開催国における前向きな労働改革の推進役であると主張するFIFAは、過去の大会における人権惨事から学び、移民労働者の死亡や負傷に対する効果的な予防、調査、補償の仕組みを早急に要求すべきだ」とFIFAに対しても労働問題の責任が問われるべきだとしている。

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同団体は31名の移民労働者の遺族の声を公開している。建設機械による悲惨な斬首や「自然死」として処理され続ける労働災害。現在FIFAはこれらの問題に対する具体的な解決策を提示していない。

イギリス紙『The SUN』は「W杯は血の上で築かれている」という見出しでこの問題を報道。ヨーロッパでも本問題は注目を集め、FIFAを糾弾する声も挙がりつつある。揺れるサッカー界にFIFAはどう動くのか、今後の動向に注目だ。

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