国立競技場の運営事業を担う株式会社ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント(JNSE)と株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は15日、国立競技場を世界トップレベルのナショナルスタジアムにするという目標のもと、「ナショナルスタジアムパートナー」第一号となるトップパートナー契約を締結したと発表した。
「ナショナルスタジアムパートナー」とは、スタジアムの新たな社会価値をJNSEとともに生み出していく“共創”の仕組み。国立競技場の公共性を守りながら、パートナー同士の知見やアセットを互いに掛け合わせることで、社会課題の解決や地域活性化に寄与することを目的としている。
今回、JNSEとMUFGは、パートナーシップ契約を契機に、2026年1月より国立競技場の呼称を「MUFGスタジアム」とすることを発表。略称は「MUFG国立」で、契約期間は2026年1月1日から2030年12月31日までの5年間となる。
両者は、今後も国立競技場の歴史と伝統を継承し、さまざまなステークホルダーとともに、スポーツやエンターテイメントの発展のみならず、次世代育成、環境保全、文化交流、地域連携、事業共創などの活動を加速していくとのこと。
今後さらに加わるナショナルスタジアムパートナーと一体となってスタジアムの価値創造と社会的意義を発信していくことで、世界に誇れるスタジアムへの変革に挑戦していくという。
なお、正式名称は国立競技場のままで、各競技団体等が定めたクリーンスタジアム規定及びそれに準拠するルールに基づいた運用が必要とされる場合、「国立競技場」と呼称される。以下は関係者のコメント。
株式会社ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント 代表取締役社長 竹内晃治氏
「このたびMUFGがナショナルスタジアムパートナーに就任することを心から歓迎いたします。金融の専門性だけでなく、文化振興や地域連携にも積極的に取り組む姿勢は、まさに私たちがめざす国立競技場の姿に強く共鳴するものです。ともに歩みを進められることを大変頼もしくあり、嬉しく思っています。
国立競技場は陸上、サッカー、ラグビーをはじめとする『日本スポーツの聖地』であると同時に、音楽・エンターテイメント業界にとっても『憧れの舞台』であり続けてきました。私たちは、この輝かしい伝統と歴史を守りながら、さらに発展させていきたいと考えています。
スタジアムを起点に、スポーツ、音楽、文化、そして地域を結び付け、循環させる『社会の心臓』としての役割を果たし、スポーツの熱狂と文化の感動を社会全体で共有できる姿を実現してまいります」
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 取締役 代表執行役社長 グループCEO 亀澤宏規氏
「国立競技場がこれまで生んだ数々の感動や名場面の歴史、そしてこの場所を支えてきたすべてのアスリート、ファン、関係者に深い敬意を抱いています。この度、ナショナルスタジアムパートナーに就任し、JNSEが掲げる国立競技場の世界トップレベルのナショナルスタジアムへの進化に参画できることを光栄に思います。
MUFGは『世界が進むチカラになる。』というパーパスを掲げ、産業を支え、成長を支援するグローバル総合金融グループとして、中立的な立場からあらゆるステークホルダーとの幅広い“つながり“を構築できることを強みとしています。当社グループのビジネス基盤、社会貢献活動の実績を活かして、様々な業界・団体・ステークホルダーの皆さまとともに、新たなナショナルスタジアムのビジョンと構想の実現や、社会課題の解決とイノベーションの創出をめざし活動していきます。グループ15万人の社員が志と覚悟、そして責任をもって、多くの皆さまに親しまれ、共感いただけるスタジアム実現に向けて取り組んでまいります」
株式会社NTTドコモ 代表取締役社長(JNSE構成企業代表) 前田義晃氏
「『スタジアム運営を通じて、スポーツ界の成長と社会的価値の創出を加速する。』
この信念のもと、当社をはじめとする構成企業4社で国立競技場の運営事業に参画し、昨年JNSEを設立いたしました。先進的なICT技術や施設の維持・管理ノウハウ、地域活性化プロジェクトの豊富な知見、コンテンツホルダーとしての興行運営実績など、構成企業各社が有するアセットを最大限活用することで、国立競技場を『世界トップレベルのナショナルスタジアム』とすることをめざしています。
これを実現する強力なパートナーとして、MUFGを迎え入れられることを大変嬉しく、また心強く思います。“日本のフラッグシップスタジアム”として、MUFGスタジアムがこれからも一人ひとりの心を動かす舞台であり続けながら、スポーツ・エンターテイメント産業の発展に寄与していけるよう、共に挑戦してまいります」
独立行政法人日本スポーツ振興センター 理事長 芦立訓氏
「JNSEにおかれては、スタジアムの発展可能性を社会に提示する先導的なビジネスモデルを提案し、コストセンターからプロフィットセンターへ転換を図る意欲的なスタジアム改革を進めていることに敬意を表します。今回のナショナルスタジアムパートナーの選定もその一環だと存じます。
今後とも、国民、都民をはじめ、多くの皆さんに愛され、親しまれるスタジアムの実現に向けて、更なる飛躍をご期待申し上げます」
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) チェアマン 野々村芳和氏
「『国立競技場』は、日本サッカーにとっても特別な記憶と感情が宿る場所です。今回、その象徴的なスタジアムがJNSEとMUFGという強力なパートナーシップのもとで新たなフェーズに進むことを、とても心強く、また楽しみに思っています。
スタジアムに息づく歴史や伝統を継承しながらも、ネーミングライツを通じてスタジアムの価値を高めていく動きは世界的に盛んになりつつあります。日本のナショナルスタジアムも新しいスタンダードへと向かう、その第一歩だと感じています。
この取り組みが、日本のサッカーはもちろん、スポーツ全体の価値を向上させ、未来のスタジアム体験やファンとの関係性をより豊かにしてくれることを期待しています」
株式会社隈研吾建築都市設計事務所 建築家 隈研吾氏
「国立競技場のデザインに携わったとき、日本とは何かをずっと考えていた。『国立』と名のつく建築はいろいろあるけれども、数万人の人間が集まって、歓声をあげるのだから、その器がどのようなものであるかは、日本をどう定義するかに深くかかわっている。
Jリーグスタジアムのネーミングライツ(命名権)、契約金トップ10!「J1昇格」で変動も
われわれはそこで、47都道府県の木をすべて用いた。開かれて水平な空間を提案した。そこがスポーツだけではなく、文化の器にもなるということで、そして新しい強力な民間パートナーが加わることで、この器はその力をさらに発揮し、輝いていくだろう」