今月21日にタイ代表の指揮官を突如解任された石井正忠監督。
58歳の石井監督は、順天堂大学を経て、鹿島アントラーズなどでプレーした後、指揮官として鹿島をJ1優勝や天皇杯優勝などに導いた人物だ。
2020年からタイに活躍の場を移すと、国内強豪クラブのブリーラムを経て、2023年12月から代表監督を務めていた。
タイ代表での戦績は30試合で16勝6分8敗というものだったが、タイサッカー協会は「協会の方針と石井監督の運営方針およびチーム作りの方向性が一致しない」として解任に至った。
その後、石井監督は「何て不誠実な人達なんだろう」と電撃解任に至った経緯に対する不満をSNSに投稿。
『Thairath Sport』によれば、タイ代表サポーターたちが、石井監督を解任したタイサッカー協会に抗議し、シンガポール戦の観戦をボイコットすると脅す事態になったそう。
タイ代表は11月13日に地元でシンガポールとの親善試合を控えている。
タイサッカー協会は、石井監督のもとでの勝率が53%ほどだったことも解任理由に挙げていたが、ファンはそれに異議を唱えているそう。タイ代表のFIFAランキングは113位から96位へ上昇しており、これは17年以上ぶりの好成績だったという。
そうしたなか、石井監督は、あらためてこのようなメッセージをSNSに投稿した。
「まずは、タイ王国のシリキット王太后陛下のご逝去に、心からお悔やみを申し上げます。今回、この悲しみの中で、タイという国がまた一つになれることを信じています。
我々スタッフの契約解除通告から数日が経ちました。今回の監督交代で、驚きや悔しい気持ちになった人も多いと思います。
でも、我々が目指している大きなゴールのひとつ『2030年にタイ代表がW杯の舞台に立つこと』。この目標は、誰か一人の夢ではなく、サッカーを愛する、タイのみんなの夢です。
だからこそ、気持ちを切り替えて、11月のスリランカ戦、そして、来年3月のトルクメニスタン戦では、ピッチの中で戦う選手たちに、みんなの声を届けてほしい。11月13日もその2試合の為の試合。
私は皆さんの声援が届くたびに、選手たちはもう一歩、二歩、前に進める事を何度も見て来ました。私自身も強い気持ちを持ち続ける事が出来ました。
今こそ、タイがひとつになって前に進む時です。協会も、選手も、サポーターも、同じ方向を向いて『タイサッカーを強くする』ことを本気で考えましょう。そしていつかタイの旗をW杯のピッチで見られるように。」
タイ国王の母であるシリキット王太后は24日に93歳で亡くなった。石井監督はその死去を悼みつつ、タイが2030年W杯に出場するためにも、ひとつになることの重要性を説いていた。
これを受けて、『Thairath Sport』は、「石井氏は、シンガポール戦の観戦を拒否すると脅すファンの怒りを鎮め、タイのW杯出場権獲得を強く望むと表明した」とも伝えていた。
2026年W杯予選でも敗退したタイは、まだ本大会に出場したことがない。
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スリランカ戦とトルクメニスタン戦は、2027年アジアカップに向けた最終予選のラスト2試合。グループ首位になれば、本大会行きが決まるが、タイは首位トルクメニスタンと同勝点ながら直接対決の戦績で現在2位となっている。