ソーシャルメディアで先日大きな話題を集めたのが、サウジアラビアが「地上300メートルの高層ビルの屋上にサッカーグラウンドを作ろうとしている」という映像だ。
2034年に開催されるFIFAワールドカップに向けて建築が進められているものの一つとして伝えられ、5000万回以上の再生回数を記録し、世界中のメディアで取り上げられた。
ところが『Daily Mail』によれば、このビデオは数週間前にイギリスのイースト・サセックス出身のリアム・ホーズ氏(34歳)が、寝る前の2分間でAIに作らせたものだったという。
ホーズ氏は今月初めにFacebookに「Hypora Ultraworks」というページを開設し、AIを使った壮大なプロジェクトの構想映像を定期的に投稿している。
すでに3億5000万回もの再生回数を誇っているものの、実はまだ収益化できないことから一銭も稼ぐことができていないという。ホーズ氏は取材に対して以下のように話していたという。
「クレイジーだったよ。2週間前、寝る前にスマホをいじっていたときにふと浮かんだアイデアだった。このコンセプトを思いついてから、あっという間に世界中に広まっていった。最初は1万3000人がシェアして、それから本当に収拾がつかなくなった。
あらゆるメディアやSNSで、この動画は『サウジアラビアがワールドカップのために計画している超高層スタジアムだ』として拡散されているのを見たよ。
一体何が起こっているのかわからなかった。サウジアラビアのプロジェクトについては、僕は何も知らなかったんだからね。友達や母から電話がかかってきて、『ニュースで流れていたあのビデオは、あなたがデザインしたものじゃないの?』と言われたよ。
僕は小さなメディア会社を経営しているんだけど、AIについて勉強しなければいけないと思っていたんだ。だからイメージデザイナーに頼んだだけだ。
寝る前にベッドの中で、高層ビルの上にスタジアムを作るというアイデアを思い描いていたんだ。動画を作るのにかかった時間は2~3分だ。動画の制作費は3ペンス(70円)で、スマホで作ったよ」
リアム・ホーズは自身のFacebookページで超高層スタジアムの動画を作ってアップしただけであるが、それがいつのまにか「サウジアラビアのプロジェクト」だと拡散され、最終的に世界中のメディアを騙すことになったという。
『Hypora Ultraworks』は「私たちは人間の創造性とAIを活用した制作を融合させ、編集チームが綿密に監修しています。AIを活用した動画制作はまだ初期段階にあり、そのクリエイティブな可能性を探求するのは非常に楽しいです」とページに声明を公開している。
また「実現したい面白いアイデアをお持ちですか?あなたのコンセプトをお送りください。弊社のチームがそれを製品化することを検討し、あなたの想像力がどんなものを生み出すのかお見せします」と書き、外部からもプロジェクトの提案を募集しているようだ。