「5年後」の意味

最後の質問権は、私に当たらず。ただ、その記者の方がほぼ代弁して下さっていました。「この結果はどういう意味を持つのか」、です。

ただ、「最終予選とアジアカップ本大会への出場が見えてきた」かと考えた私の予測は外れました。アウェー2連戦でグループ首位に立った監督が話し始めたのは、もっと遠い未来の話。東南アジアの域外にある日本やオーストラリア、韓国という強豪と公式戦で対戦するのは若年層に大きな刺激になるだろう、シンガポールには去年天然芝の素晴らしいスタジアムができ(日本対ブラジルをやったスタジアムです)、育成についてもプランができていると。

祖国が消滅し、東欧や中東を変転としたシュタンゲ監督は、地元のパース・グローリーを指揮した際に家を買い、ここには今も夫人が住んでいるようです。シンガポールからオーストラリア西海岸の中心都市までは5時間かかるものの、直行便が毎日6-7本という便利さ。引退も視野に入れた66歳にとって、これが最後の挑戦になりそうです。

そして、彼が口にした「5年後」のフレーズ。もちろん2020年は東京五輪です……いや、何と言いますか、本当にすいません。いろいろと溜まってるんですけどね……。

いろいろとアレな人達の話はまあ別として、シンガポールにとっても大きなチャンスです。アジアからの出場国は通常3つですが、この時には開催国の日本が予選から外れます。このチャンスを見逃す手はないですね。どこまでシンガポールサッカー協会とシュタンゲ監督が話をしているか、そもそも監督としての契約はどこまであるのかが分かりませんが、長期的な視野に立った強化策の途上にある、その大きな一歩としてこの結果を持ち帰りたいというのが良く分かる会見でした。

シンガポール代表という事もあり、この会見はずっと英語。しかし最後の質問に答えて立ち上がった時、少しだけ違うトーンで。

「前に置いてあるこのビールは、飲んじゃダメなのかい?ドイツだったら会見が終わったら1本もらってOKなんだけどね」。会場では「イズワンをJリーグのビッグクラブでやらせたいんだ」という言葉で外国人記者達が反応したのに続く、今日2度目の笑いが起きました。日刊スポーツの記事によると、その後でシュタンゲ監督には無事にキリンビールがもたらされた模様です(笑)。

シンガポール監督上機嫌で「ビールもらっていい?」
http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/1493292.html

そうですね、私はアルコールがダメなので、読者の皆さんには次のシンガポール戦の前には「タイガービール」でも飲んでいただくよう、お願いしたいですね(笑)。

1996年から始まり、2008年からは「スズキカップ」となった東南アジア選手権ですが、2004年までの最初の5回はこの会社がスポンサーだったので、「タイガーカップ」という名称は割となじみがあります。

Tiger Beer Official Site(英語、年齢認証有り)
http://tigerbeer.com/

日本ビール株式会社 (Tiger Gold Medal/タイガー(瓶))
http://www.nipponbeer.jp/lineup/iview.php?pvw=dt&pid=48

その後で「勝ち点2を落としてしまった」ハリルホジッチ監督がやってきたのですが……長いので、続きは次のコラムにします。

≪その2(後編)へ続く≫

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