1、ジョゼ・モウリーニョの精神的不安定

フランス紙レキップは、「ジョゼ・モウリーニョの父親がポルトガルで病床にあり、それがモウリーニョの精神状態に悪影響を与えているのではないか」と報道。事実、ジョゼ・モウリーニョの父親が脳梗塞で倒れたことは、英国紙でも確認されている。

現在は療養中で回復に向かっているとの事だが、家族が母国ポルトガルで病に伏しているという事実が指揮官の精神状態を不安定にしていたとしても、不思議ではないだろう。指揮官という仕事は忙しく、なかなか父親に会いに戻ることも難しい。

女医エヴァ・カルネイロとの衝突、度重なる審判への苦情。今年のチェルシーが例年にも増してこういった問題を露呈しているのは、ジョゼ・モウリーニョが「チームの状態が悪いせいで神経質になっており、外部へ失敗の原因を転化しようとしている」からだと思われていた。実際、英国紙も度々チェルシーの不調とエヴァ・カルネイロの事件を結び付けて語っている。

しかし、筆者は「エヴァ・カルネイロとの衝突」がチェルシーの不調における原因となっているという見方には賛成出来ない。むしろあの事件は、ジョゼ・モウリーニョが良い精神状態ではないことによって発生したものなのではないだろうか?

言い方を変えれば、エヴァ・カルネイロとの衝突は原因ではなく、「結果」だったのである。

あの時点で、既に歯車は大きく狂っていたのだ。「キャリアで最悪の結果、最悪の時期だ」とコメントしていることも解るように、ジョゼ・モウリーニョ本人が自信を失っていることも明白だ。

また、もう1つ「父親の病気」という仮説を支える出来事があった。

クリスタル・パレス戦のキックオフ直前に、ジョゼ・モウリーニョはベンチ入りしていたヤニック・ボラシーの所に向かった。彼に握手を求め、そのまま軽いハグをしているのだが、これはボラシーの父親が亡くなったという話を耳にしたからだと言う報道があった。自らの状況を、彼に重ね合わせていたのかもしれない。

実際メディアに報道されているように、ジョゼ・モウリーニョは血も涙も無いような人間ではない。多くの選手が彼を愛し、苦境にある彼をサポートするメッセージも多く届いている。

例えば、チェルシー時代に指導されていたFWアンドリー・シェフチェンコは「チェルシーはジョゼ・モウリーニョを解任するべきではない」とコメントしている。メディアには見せないような、繊細な部分に受けたダメージが彼を蝕み、その結果として様々な問題に繋がっている可能性も否定出来ないだろう。

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