このように全体的なパフォーマンスは良く、高い位置でボールを触ることで脅威を与えていたのは間違いない。だが、2列目の選手としては得点力が物足りない。チャンスメイクだけでなく、チャンスをモノにする決定力が必要となるのだ。
筆者はここに、柴崎の抱えるジレンマを垣間見る。自らの特徴が最大限活きるポジションでプレイできていないのだ。
つまるところ、柴崎の最適なポジションはインサイドハーフなのだ。4-3-3など3センターハーフの一角でこそ持ち味が活きる。インサイドハーフであれば、守備の負担はアンカーが軽減してくれる。守備に気を使いすぎないようになれば、攻撃にも良い影響を及ぼす。前線への飛び出しが今まで以上に増えるだろう。
柴崎の海外志向の強さは広く知られている。しかし、柴崎のようなタイプのボランチは海外においては起用法が難しい。ダブルボランチの一角としては守備力に不安があり、2列目としては得点力が足りない。なにより、持ち味が活きる3センターハーフを採用しているチーム自体それほど多くはない。
遠藤保仁と中村憲剛。日本を代表するパサーである2人は海外移籍を経験したことがない。もちろん、それぞれ事情があり、タイミングの問題もあったのかもしれない。ひとつ言えるのは、柴崎同様に彼らも海外では起用法が難しかっただろうということ。理由は上記の通りである。
冒頭でも述べたように、柴崎は日本代表から遠ざかっている。指揮官の采配に加え、柏木・大島僚太の台頭により、立場は厳しいモノとなりつつある。
今の柴崎が岐路に立っているのは間違いない。だが、フットボーラーとしてのセンスは同世代の選手の中でもずば抜けている。
個人的に望むのは、鹿島一筋を貫き、小笠原満男の後継者として君臨すること。課題の守備については、小笠原という最高のお手本がいる。何より、アントラーズで活躍することが日本代表での定位置確保にもつながる。攻守両面でチームに貢献できるボランチ。理想は高いが、柴崎ならその理想を体現してくれるはずだ。
2016/9/22 written by ロッシ
筆者名:ロッシ
プロフィール:
1992年生まれ。1998年フランスW杯がきっかけでサッカーの虜となる。筆者の性格は堅実で真面目なため、ハビエル・サネッティ、長谷部誠、ダニエレ・ボネーラ、アルバロ・アルベロア、マッティア・カッサーニにシンパシーを感じている。ご意見・ご感想などありましたら、ツイッターアカウントまでお寄せください。
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