ネルソン・カブレラの代表変更を阻んだ法律とFIFAルールの差
ネルソン・カブレラはパラグアイ生まれで、同代表として2007年に1試合の出場がある。TVのキャラクターから「Rompehuesos」の愛称を持つ長身のセンターバックだ。
これまでルーマニア、中国、チリなどでプレーしてきたが、2013年よりボリビアでプレーし今年国籍取得をした。しかし、ボリビアは3年間の滞在で国籍が取得できるが、一方のFIFAは代表変更の条件として5年間の滞在を求めている。つまり、FIFA側のルールと、ボリビアの法律とで差異がありそこでミスが起きたことになる。
このような国籍変更は現在のサッカーシーンではよく行われている。コソボ代表が登場したときにFIFAに国籍変更の許可をとるためにメンバー招集が大変だったよしをかつてお伝えしたが、ボリビアは何故試合前にこのような確認をとらなかったのだろうかは謎だ。
一方、FIFAの制裁に対してボリビアサッカー連盟は「非良心的で無責任」との声明を発表している。
チリとボリビアの火種
今回の訴えは敗れたチリ側からのもの。一方で、ボリビアもCONMEBOL、FIFAに対してチリ側の問題の対処を訴えていた。それは、同試合のチリ側の攻撃的なチャントについて、ボリビアのエボ・モラレス大統領が言う「全てのボリビア国民を侮辱した」内容だったからだ。
ボリビアは太平洋戦争と呼ばれる1879-1884年の戦争でチリと戦った。硝石の鉱山をめぐる争いを発端にした争いでボリビアはペルーと共にチリと戦ったが敗戦。沿岸部を含む領土の半分を失い、以降現在まで港をチリに税金を支払って使わせてもらっている現状がある。
南米で最も貧しく、高地ラ・パスをホームにしている内陸国ボリビアだが、そうなる理由にはチリとのいざこざがあったからなのだ。そのために現在でも両国はあまり良い関係とは言えない部分があり、ボリビア側は3月23日に「海の日」を制定し海を取り戻すための運動を続けている。
戦争から100年以上が経ち、またチリに負けてしまった格好のボリビア。サッカーでリベンジしてもらいたいところだが。
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