なぜ前者に投票が集まったのか?『Sports Illustrated』の報道では、
「投票する理事の211名中208名が男性であることから、大きな変化を要求する女性よりも、現状維持に近い方針の候補に投票したのではないか」
とのことだった。
もちろんこれだけが原因と考えるのは拙速である。他に様々な理由は推測できる。
そして、決してキロンが当選したことが悪いとも言えない。
選挙においてビジネス面でのメリットを訴えにくい候補者が求心力を欠くことは典型的な事例でもあるし、それが一概に愚かな判断であるというわけではない。
だが、これらの論調を見て思うのは、まずFIFAの理事の選挙を「FIFA理事の投票」で決めるということには限界があるのではないか?ということである。理事が他の理事の都合で選ばれた、という状況があり得ること自体、十分歪だ。
国会で例えれば、これは「衆議院議員の投票で衆議院議員を選ぶ」ようなもの。それがどれだけおかしいものなのかはすぐ分かる。
会長を選ぶのであれば党内や理事会内から選べばよい。しかし、理事は全世界のサッカー関係者の代表であり、その資格を内部の他の理事だけが選べるというのは、そもそも捻くれているのではないか?
FIFAは(名目上だが…)営利企業ではない。この大きな規模の組織で、全世界に投票できるだけの経験や知識がある構成員もいるというのに、その閉鎖性はいかがなものか?
日本では「1票の格差」問題が浮き彫りとなり、JFAではようやく会長選挙が導入された。徐々に改善へと向かっている。そもそも人口割で代表数を決めること自体は間違っているとは思うが…。
FIFAも「民主的な組織」になりたいならば、もっと「何が民主的なのか、どうすれば民主的なのか」と考えるべき時が来ているのかもしれない。
組織はまず人選びから。インファンティーノ会長、まず選挙改革から手を付けてみては?