理想形は金星をあげた……

「奪ったボールを2トップに預ける」という狙いがはっきりと定まったことにより、鳥栖の代名詞であるハードワークも復活を遂げた。

前半戦はゴールが遠ざかったこともあり、選手たちの頑張りが水の泡となっていたが、一本の筋が通ったチームはハードワークへのモチベーションも向上。中断期間明けの12試合で6失点、7度のクリーンシートを達成するなど堅守を取り戻した。

C大阪、川崎フロンターレ、FC東京、広島といった上位陣から勝点を奪えるようになったチームは、明らかに上昇気流に乗っている。F・トーレスのフィットはもちろん、安定したディフェンスを見せるオマリがレギュラーに定着し、今季開幕前に加入した安在和樹が新天地でも輝きを放ちつつあるなど、朗報も多い。

残り8試合となったリーグ戦で残留を掴み取るには、この良い流れを続けていくことが重要となるだろう。ハードワークを徹底して粘り強く90分を戦い抜き、勝点をモノにする戦い方が求められる。

理想は、首位相手に金星を挙げた26節の広島戦だ。試合を通して集中力を切らさず相手の攻撃に対応し、セットプレーから先制点をゲットした後は、したたかに時計の針を進めて逃げ切った。カウンター一辺倒になるのではなく、ポゼッションでリズムを掴んだ時間帯もあり、試合運びとしては満点の出来だった。

仮にJ2降格となれば、財政的なダメージや主力の流出はもちろん、F・トーレス獲得によって高まったブランドイメージに傷がついてしまうだろう。

降格は絶対に許されない中で、ノルマをクリアできるか。ここにきて代名詞を取り戻した“地方クラブの雄”から目が離せない。

2018/09/16 written by ロッシ

【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ

大谷翔平より稼ぐ5人のサッカー選手